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メディアグランプリ

小3女子は〇〇は裏切らないからね、と涼しい顔で言い切った


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:濱本 祐子(ライティング・ライブ大阪会場)
 
 
その日の夕方、いつものようにYさんがやってきた。
「先生こんにちはー」
「はい、いらっしゃい。手の消毒どうぞ。宿題出してね、今日の教材はこれだからね、よろしく」
 
私は小学生と中学生を対象にした個別指導の塾の先生をしている。生徒たちは時間内に来て、各自でプリント教材に取り組み、全て満点になれば帰れる。それぞれの生徒が来る曜日と時間はほぼ固定なので、毎回同じ時間に同じ子どもが一緒になることが多い。
 
この日は他に低学年のCくんが居た。
Cくんはその時あまり機嫌が良くなくて、ぶすっとふてくされたまま床に転がっていた。
それを見たYさんが言った。
 
「(プリントを)やらんのん? なんで? ふーん、機嫌悪いんだ。別にやらなくても今は困らんかもしれんけどね、私はやるよ。せっかく来たんだし」(と言いながら自分は手を動かす)
「おお、Yちゃん、いいこと言う」
「だって、友だちは裏切ることがあるけど、勉強は裏切らないからね」
 
「!!! Yちゃん、それ誰から聞いたん?」
「うん、ばあばがね、言ってたよ」(と言いつつまた手を動かす)
「ばあば、いいこと言うねえ!」
 
ばあば、グッジョブ! と思った。
 
私の周りでは「なんで勉強しないといけんのん?」「勉強なんてなんの役に立つん?」「やったって意味ないし」「どうせ忘れるし」とぼやく子どもをよく見かける。親や学校の先生に面と向かって言うと怒られるだろうから、言っても怒りそうにない(ように見える)私に言うのかもしれない。塾の先生だったら、もしかすると自分の納得のいく答えを教えてくれるかもと思って、聞いてくるのかもしれない。
 
「勉強は裏切らない」ことをまだ実感として持てないのだろうな、と思う。
これが習いごとの水泳や野球やサッカー、ピアノなどだと「練習したらうまくなる(練習は裏切らない)」ことは経験しているだろうに、勉強だけ「やったらその分出来るようになる」と思えないのは、なんでだろう。そんなわけない。
 
勉強だって練習したらうまくなるはずだ。
人によって出来るようになるまでの時間差はあるだろうが。
 
もしかしたら、Yさんのばあばにもそんな経験があるのだろうか?
 
私はある。
 
高3の秋、受験勉強中に突然、進路を変更した。変更した結果、(あまり好きではない)数学の二次試験の対策が必要になった。
 
これは困った。二次試験は筆記だ。書く練習などあまり出来ていない。
困った私は当時の担任だった数学教師に相談に行った。先生は、先生セレクトの薄っぺらい問題集を一冊用意して、ノートに毎日解いて持ってくるように言った。半信半疑だったけれど、私は言われたとおり毎日1ページずつ解いて、数学の教員が集まる部屋(タバコ臭かった)にノートを持って朝夕通った。本番までの4ヶ月弱、同じ問題集を合計3回以上解いた。
 
そのおかげもあり、無事第一志望の大学に入れた。また私立大学入試での選択科目も、文系なのに社会科ではなく数学を選んで点を稼ぐことが出来た(当時、私大文系の数学は社会科に比べて易しかった)。先生には今でも頭が上がらない。
 
今の話に戻す。
Yさんはばあばからこう教えられて、自分でも「あ、前にやったことがつながっているな、テストの時思い出せたし、勉強してて良かった」と思う場面が今までに何回かあったのだろう。
 
気がつくと、転がっていたCくんは静かに座り直して、鉛筆を握ってプリントに向かっていた。
 
もう一つ、実際にあった話。
数年前の秋、趣味仲間と車で帰ってくる際に、運転していた友人から、息子さんが受験を控えてものすごく勉強しているという話を聞いた。
「私の子どもじゃないみたいに毎日机に向かってて、こんだけやってもし駄目だったらどうしよう、なんて声かけたらいいんだろうって、今から心配してる」と言う彼女に伝えた。「もし万一その高校に入れなくても、そこまでやれたってのは本人の自信になるし、大学も行くんでしょ? そのための土台になるよ、大丈夫」と。
 
その後、3月の合格発表日に「受かったよ!」と喜びのLINEが届き、入学式の際には息子さんの写真を送ってくれた。現在は大学入試に向けて頑張っているらしい。多分彼の中には「高校入る時に頑張れた、次もいける!」という自信が今も残っているのだろう。
 
自分の頑張りは、経験は、絶対に自分の中に残る。
それはばあばが言うように、自分を裏切らない。
ただ、全て結果につながるとは限らない。どんなに練習しても、エラーはやってしまうし、ピアノの発表会で完璧に弾けることは多分無い。大事な試験でミスをしてしまうこともあるかもしれない(私は大学入試の英文和訳で、ある単語の訳を全部間違って書いた覚えがある)。
 
でも、その時はつながらなかったとしても、どこかで廻り廻って自分に戻ってくる。そして、自分が頑張れたことは、事実として自分の中に残る。
 
最終的には、その積み重ねが自分への信頼や自信になっていくのだろうな、と思う。
 
子どもたちに言いたい。
勉強だけじゃない、スポーツも、音楽も同じ。
何でもそうだ。上手になりたかったら、納得いくまでやるしかない。
時間がかかるから、どうせ自分は出来ない、と諦めたくなる時もあるだろうけど、あとちょっとだけ、頑張ってみてほしい。上手になれなかったとしても、自分が頑張れたことは、自信にしていい。
 
大人も同じなのではなかろうか。
それで私も「○○○を取り入れましょう」「XXXが足りません」「コンテンツとして弱かったです」と何回言われてもめげずに(いや、凹んでいることも多いのだけれど)、踏ん張って原稿を書いている。
 
今回のライティング・ライブでの学びをこの先に活かしたい! と思いながら。
 
そして今度、Yさんのばあばに聞いてみようと思う。
「勉強は裏切らないってYさんに言ったそうですけど、なにかあったんですか?」と。
 
 
 
 
***
 
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2021-12-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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