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クリスマスにカタログギフトを開いてもサンタはやってこない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:尾治(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
12月25日クリスマスの夜。私は一人、部屋でのたうち回っていた。
「一緒に過ごす人が欲しい……!」と。
普段は独り身を1,200%楽しんでいる私も、「一緒に居たい人はいるのか?」と電話で問うてくる親、家族の笑顔がまぶしいケンタッキーのCM、推し達の楽しそうな写真や動画など、押し寄せる幸せの形と価値観で情緒のダムが決壊していた。
感情に流されるまま、私の指はスマホの画面をスワイプする。とある”カタログ”に登録されている数千の”ギフト”から、欲しいものを選び出そうとしていた。
 
そのカタログの名前はPairs(ペアーズ)。男女の出会いを仲介する、いわゆるマッチングサービスを提供するアプリである。独身者の4人に1人は利用経験があるという調査結果もあり、ここ数年で市民権を得てきたWebサービスである。おおまかな使い方としては、登録されている異性のプロフィールを見て、「この人良さそうかも」と思ったら『いいね』を送る。相手からも『いいね』が帰ってきたら、マッチング成功、おめでとう。メッセージを送ることができるようになるのだ。このメッセージのやりとりで好感触が得られれば、実際に会ってみよう、ということになる。
 
数年前、仕事の都合で一度登録したきりになっていたアプリを再起動させ、古くなった写真と自己紹介文を高速で修正し、条件に合う男性を探した。まるで引き出物でもらったカタログギフトのように。
キッチン用品、老舗の和菓子。カテゴリーを選ぶが如く、居住地と年齢を。
ノリタケ、とらや。ブランドを選ぶが如く、学歴を。
種類、デザイン、内容量。趣味、見た目、価値観。実際に写真を見ながらディティールを確かめる作業。
素敵なギフト、及第点! と思える相手を見つけては“いいね”を送る。
沢山の”ギフト”を前にすると、欲が出る。比較対象が多いほど、条件が詳細であるほど、「もっといい条件」を求めてしまう卑しい性が出る。帯に短し、たすきに長し。あれも、これもと気になりだしたらキリがない。そして、あまりの選択肢の多さに選ぶことすら困難になるのだ。
本当に欲しいものはなんだっけ?
親指のやり取りで、今すぐ出会えるものだっけ?
それはそれで運命的で効率的なドラマではあるが、残念ながら私の欲しいものではなかった。と、利用開始2時間で気づいた。夢からさめたような気分だった。
 
カタログギフトは欲しいものが必ず一つ届くが、”男のカタログ”はそうはいかない。そもそも、私が選ぶ側であると誰が決めたのだ。私だって相手からすれば”女のカタログ”の一商品である。欲しいと思われない限り、届けられることはない。
また、マッチングが成立した後も、メッセージ交換がある。地道に信頼を築き上げないと、会うことはかなわない。それはそうだ。人間同士なんだから。
画面の中から出てこないのは、アニメのキャラクターだけで十分だ。
 
欲しいと思ったその日に注文するなんて、なんて愚かなことだろうか。そして、衝動で手に入れたものは、手に入れたことだけで満足して、持て余してしまうものではないか。テレビの下でホコリにまみれているリングコン(リングフィットアドベンチャー専用コントローラー)がジッと訴えてくる。腹のぜい肉と共に、そっと目をそらした。
 
2時間の衝動、長いとも短いとも取れる時間で得られたものは、流されない自分を持とうという確固たる意志と、用意されたカタログからでは本当に欲しいものは見つからない、ということである。
当たり前のことだと笑われるだろう。しかし、人間、精神状態や雰囲気で驚くほど取り乱したりするものだ。笑っているあなたは、私と同じ轍を踏まないよう、イベントシーズンは気を引き締めてほしい。ささやかな願いである。
 
サンタからプレゼントをもらうには、1年間いい子にしていないといけないらしい。仕事を頑張り、自己研鑽をし、日々充実させることで周りに流されない意思を持つことが、社会人的な”いい子”の条件になるだろうかと考える。そんな”いい子”は、サンタという好機がやってきたら、自分の力で手に入れられるだろう。いや、手に入れて見せる。それまで、何が本当に必要なものなのか、じっくり考えておこう。
焦って何かを手にしようとするのは、やめておけ。
 
 
 
 
***
 
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2021-12-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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