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好みのコーヒーの選び方は、お米の水加減と同じ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:藤本摩理(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
「マリさん、美味しいコーヒーってどう選ぶんですか?」
 
そう尋ねられた時、私は大阪の中崎町にある小さなカフェのマスターを思い出す。コーヒーにハマり、シングルオリジンをひとつひとつ飲んでは必死で味を覚えていた頃の私。「KALDY」の店頭で配られているコーヒーの産地紹介のチラシを持ち歩き、「グァマテラはマイルドコーヒーの代表」「キリマンジャロは酸味に特徴」なんてそらんじていたあの頃。そして、それをぶち壊したマスターの一言。
 
「好みのコーヒーの選び方は、お米の水加減と同じ」
 
そんなことを教えてくれたマスターの店は、大阪のレトロカフェ激戦区・中崎町にあった。カウンター席が六つしかない小さな店で、店の敷地の半分近くを大きな焙煎機が占めている。そんな店でテイクアウト用の豆を物色していた時に、「どんな豆がお好みですか?」とマスターに尋ねられたのが始まりだった。
「コーヒー、やっとちゃんと飲み始めたばかりで。いろいろシングルオリジンを試しているんです。今はグァマテラが好きです」と精一杯背伸びをした私に、おひげのマスターは「産地で選ぶんですね」と面白そうな顔。
コーヒーを産地で選ぶことの、何がおかしいんだろう? 意図を図りかね、首を傾げた私にマスターが放ったのが例の一言。「好みのコーヒーの選び方は、お米の水加減と同じです」。
気がついたら私は六席しかないカウンターのひとつに座って、マスター流の「コーヒーの選び方」に耳を傾けていた。
 
マスターいわく「お米は銘柄や産地よりも、水加減の方が好みを左右する」。どんなに美味しい魚沼産こしひかりでも、水加減を誤ってしまえば美味しい塩むすびにはならない。ただ水加減さえ正確にすれば、どんな銘柄のお米もだいたい自分好みに炊けるという。
この「水加減」に相当するのがコーヒーの焙煎度だ。お米におこわ・おかゆがあるように、コーヒーには浅煎り・深煎りがある。好みの水加減であれば大体のお米が美味しく感じるように、好みの焙煎度であれば好みのコーヒーが見つかりやすい。
「だからコーヒーは好みの産地ではなく、好みのロースターを探すのが近道です」
そマスターは2種類の豆、酸味が特徴のキリマンジャロとコクが特徴のインドネシアのコーヒーを出してくれた。教科書上は全く違う特性のコーヒー。ただマスターが店内の焙煎機で焙煎したという2種類の豆は、まるで歳の離れた兄弟。それぞれに個性はあり、一見似ていないように見えつつも、よくよく見れば目鼻立ちがよく似ている。焙煎の癖のようなものが根底にあった。
「もしとても好みのハンバーグを出す店があったとしたら、そこの店で頼んだものはオムライスでもナポリタンでも、好みに合う確率が高い。コーヒーも同じです。好みのロースターであれば、好みのグァマテラだけでなく、インドネシアやキリマンジャロの豆でも好みに合う可能性が高い」
マスターはそう笑って、「好みのコーヒー選びの極意」を締めくくった。
 
その一件以来、あちこちのカフェやロースターに行っては、待ち時間にマスターのお話を伺うのが私の習慣になった。
「コーヒーは果実」というマスターもいた。浅煎りコーヒーを専門に出すコーヒーショップのマスターで、一杯1,000円という目玉が飛び出るような値段ながら、まるでフレッシュフルーツをかじったかのような爽やかな酸味のコーヒーを出す。初めて味わう風味に目を白黒させていたら、マスターが嬉しそうに「コーヒーは豆じゃなくて果実ですからね」と教えてくれた。正確に言えばコーヒーはコーヒーの木の果実の中にある種子だけれど、この際それは置いておく。コーヒーは果実と同じように、本来フレッシュな風味を持つ。
「酸っぱいコーヒー」が苦手な人も多いけれど、フレッシュなオレンジの酸味を嫌がる方はあまり多くない。本当に美味しい浅煎りコーヒーには、フレッシュなオレンジのようなフルーティーな酸味がある。
 
「マリさん、美味しいコーヒーってどう選ぶんですか?」
いま私がそう尋ねられたら、産地で悩んでいるなら「お米の水加減」の話を、スーパーの珈琲売り場で豆を買っているようなら「コーヒーは果実」の話をする。
そして、これといった悩みがなくて単純に興味で尋ねているようなら。
 
「マスターにこだわりを聞いてみて」
 
コーヒーにオルゴールを聞かせているカフェがあった。オーガニックで栽培し、太陽光発電した電力で焙煎しているロースターがあった。鹿児島県で希少な「国産コーヒー」を栽培しているカフェがあった。どんなコーヒーショップやロースターにも、物語がある。その物語を知るだけで、コーヒーは何倍にも美味しくなる。
 
 
 
 
***
 
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2021-12-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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