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夕暮れどきのリビングのソファから

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:uriko(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
私は人見知りなのだが、地域の交流拠点のオーナーをしたいという夢がある。
 
「地域の交流拠点」、どんな場所かイメージしにくい方も多いかもしれない。
まちづくりや福祉の分野で良く登場する言葉だ。地域のコミュニティを活性化するため、高齢者の居場所づくりのため、といった目的で作られることが多い。飲食が出来るカフェのようなスペースをメインとし、交流を生むためのイベントなどを定期的に開催している。「コミュニティカフェ」と呼ばれることもある。
 
この秋、企業勤めを辞めてフリーランスになった。時間に余裕が出来たのもあり、冒頭に書いたオーナーの夢がふつふつと再燃してきた。
久しぶりにその夢を考えたとき、ふと、どうして人見知りの自分がコミュニティに重きを置いた場所の運営をしたいのか、自分でも不思議に思った。
大した夢もなく、そこそこの企業に就職して満足していた。
でも心の奥底に、何となくずっとあった。誰かの他愛もない日常の話や、悩みを聞くような存在になりたいという想いは。
 
それはどうやら、学校帰りのソファでの祖母との会話にあったようだ。
祖父母が住んでいた空き家に越してきて、そのことに気がついた。
 
私の両親は共働きで、幼い頃から母方の祖母によく面倒を見てもらっていた。
同じマンションの隣の部屋同士だったので、学校から帰るとほぼ毎日祖父母の家に寄っていた。
祖父母の家では、決まってリビングのソファで過ごした。
ソファは私が幼少期の頃にはすでにあったものなので、お世辞にも座り心地がいいものではない。でもそんなソファと、くたびれたクッションと、祖母が手編みで作ったひざ掛けは何とも落ち着く空間だった。
ソファの前にあるテーブルには何かしらお菓子が乗っていた。祖父は甘いものが好物で、森永のビスケットや銀座の老舗の和菓子など、ついつい手を伸ばしてしまうものが揃っていた。
そんなお菓子をつまみながら、祖母とは学校であった楽しかったこと、友達と喧嘩してもやもやしたことなど、とりとめもないことを良く話した。また、試験期間で帰りが早いときは、本当は早く試験勉強をしないといけないのに、映画好きな祖母と昔の映画を放送しているテレビを見ることもあった。
でも高校生になり塾で帰りが遅くなるようになり、さらに大学生に進学してからは生活リズムが変わってしまい、そんな風に過ごす時間はほとんどなくなっていった。
ただ、そのことに特段思い入れも感じていなかった。3年前祖母が亡くなったときには、さすがに思い出して寂しい気持ちにはなったが。
 
今年の9月末。思いがけず企業勤めを辞め、フリーランスで働くことになった。基本、自宅で作業をすることが多い。
一日自宅で仕事をしたときは、夕方ごろリビングのソファで一休みするのが日課になっている。
祖父母が使っていた家具はさすがに古くなっていたので処分したが、大きく間取りを変えるリフォームもしていないので、私たちのソファも昔のソファと同じような場所に置かれている。
ソファに座って日が暮れているのをぼんやり見ていたら、「今日、こんなことがあってね」と、無性に誰かに話したくなった。
祖母とよく話していた中学生時代からは、もう20年以上経っている。その間、そこまで懐かしくも思わなかったのに、急にワーッとその頃の思い出が蘇ってきた。
 
他愛もない話を誰かが聞いてくれる。
悩みが解決するわけでもないけれど、それはすごく貴重で嬉しいことだったのだ。
 
祖母と会話する時間がなくなってからも、大学時代はサークルの仲間、社会人になってからは同僚や先輩と飲みに行って、誰かと他愛もない話をする時間は作れていた。
だが、フリーランスになり、どこにも属さなくなったとき、そうやって誰かと他愛もない話をする機会はどうしても少なくなっていた。
何となく寂しかったが、そんなの無くても困らないと思っていた。
 
でも、もと祖父母の家の夕暮れどきのリビングは、そんな強がりをふっと解きほぐしてくれたのだ。
そして、私の心の奥底にあった夢を思い起こさせてくれた。
 
私は、私にとっての祖母のような存在、あの夕暮れどきのリビングのソファのような場所を作りたいのだ。自分が与えてもらったような、癒しと時間と場所を作りたい。
企業勤めを辞めて自分の好きなように働こう! と思ったものの、大して好きなことや、やりたいこともないと、後悔したこともあった。
でも、自分のしたいことは意外なところから気付かされた。
 
早速、1月からコミュニティカフェ運営を学ぶセミナーに通うことにした。
夕暮れどきのリビングのソファのような場所をつくる第一歩。
おばあちゃんならこの話を聞いて、どんなリアクションをしてくれるだろうか。
 
 
 
 
***
 
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2021-12-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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