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逆ゼウス

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:鶴聡太郎(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
「本当にこれであっているのか? なにもわからない」
創作や勉強を進めていて、このような状況に陥ったことはあるだろうか。
私はある。何ならこれを書いている時点でそうなっている。
「このテーマは本当に面白いのだろうか? これで規定の文字数を書き切ることができるだろうか? このやり方で本当に正しいのだろうか?」
こんな疑念が頭をよぎる。
苦しい。
辛い。
こんな思いをするなら、もうやめてしまいたいと感じることもある。
ネガティヴな思考が加速すると、自分が孤独であるように感じる。
しかしながら、インターネットの海を見渡すと、意外とこう感じているクリエイターは多いようだ。
 
私は大学のサークルで音楽を作っている。
初めてから日が浅いので、日々勉強しながら制作を進めている。
だから、なかなか完成までに時間がかかる。
それに、勉強のために色々な情報を見ていると、少しずつ違っていたりしてどれに従えばいいのかを判断するのがとても難しい。知識が少ない状態では尚更、情報の取捨選択の難度が高い。
さらに、制作に長い時間をかければかけるほど、何度も作りかけの自分の作品を聞いているほど、「本当にこれはいい音楽なのだろうか」という疑念が湧いてきてしまう。
その疑問を解決しようと考えれば考えるほど、ドツボに嵌ってしまい、進むべき道がわからなくなる。
こうなると、自分はまるでなにもできないかのような無力感に襲われる。
なにもできない、なにもわからない。
この状態が、誰が言い出したか、「逆ゼウス」である。
 
ゼウスとはギリシャ神話に登場する、全知全能の神である。
その逆なので、無知無能。
逆ゼウスの状態といえば、なにも知らないしなにもできないということだ。
自分が見ている界隈だけかもしれないが、そこで一瞬だけ流行ったネットの造語である。
ネットにありがちな、非常にオーバーな表現なので、本当に無知無能になった人はいないだろう。(本当にそうなったら、論理的なパラドクスが生じてしまう)
もう廃れてしまった流行りだが、非常に強い語気に対して、意味があまりにも無力なものを指しているというギャップを気に入り、私はたまに使っている。
 
逆ゼウス、ほんの一瞬でもインターネットで広まるくらいには、多くの人が陥る状況を端的に表現できていると言えるだろう。
特に、自分よりもはるかに長い間創作に携わり、あまつさえプロとしても活動している人たちがこういうワードを使っているのだから衝撃である。
この人たちでも逆ゼウスになるのだから、始めたばかりの自分がそうなるのは仕方ないとある意味で前向きな気持ちになる一方で、長く続けているのにもかかわらず、割と高頻度で逆ゼウスになってしまう創作の恐ろしさも感じる。
 
いわば、逆ゼウスとはクリエイターをどこまでも追いかけてくる怪物なのだろう。
おそらく私が、今後いくら作曲の腕を上げようと、文章術の腕を上げようと、なにもわからなくなる時が頻繁にやってくるだろう。
創作を続ける以上、程度の差はあれど必ずどこかで行き詰まる。
逃れることはできないし、この怪物を倒すなんて不可能だろう。
プロのクリエイターが逆ゼウスになっているのを見るとそう思わざるを得ない。
 
とすれば、私に必要なものは逆ゼウスとのうまい付き合い方である。
プロのクリエイターたちは、いくら逆ゼウスになろうとも期日には作品を仕上げているし、逆ゼウスが原因で引退するような人はいない。
思えば、私も逆ゼウスになったからといって、作業を中断することはあっても、作曲をやめようと思ったことはない。
必ず、日を改めてから作品を今一度見直したり、気分転換に新しい作品の制作に取り組んだりしている。今のところは。
また、所属しているサークルのメンバーが、日々非常に高いクオリティの作品を作り続けているのだ。
たとえそれが制作途中であっても、それは伝わる。
こういうものを聴くと、尊敬の念とともに自分にもこういう作品が作れないものかと対抗心が湧き上がる。あまりにもクオリティが高いと、自分の作品が矮小なものに見えて、逆ゼウスになることはあるが、それはそれで、自分への悔しさが私を突き動かしているのかもしれない。
 
つまるところ、強い創作への意欲に対しては、この作品が本当にいいものかどうかというネガティヴな疑問なんてどうでも良いのである。
私は音楽が作りたいのだ。
その熱意の前では、手法がわからないとか、知識が足りないというのは解決が容易な些細な問題に過ぎない。
これがある限り、私はいくら逆ゼウスになってもまた、創作の世界に戻ってくることができるだろう。
 
問題があるとすれば、この熱意を持ち続けられるかどうかという点だ。
これが失われれば、知らないことがあるというだけで私は創作をやめるだろう。
 
これの鍵となるのが、「悔しさ」ではないかと思う。
なにもわからないという状態への悔しさ。逆ゼウスから脱却したいという思い。
これが私の創作への意欲の一面なのだろう。
 
私はこれから、何度も逆ゼウスの状態に陥るだろう。
しかしながら、私はその都度、それに抗おうとするだろう。
手を止めてはならない。
私が目指すべきなのは、逆ゼウスなどではなく、その逆、つまりゼウスだ。
当然、全知全能になんてなれるはずもない。
しかし、それを目指すことをやめてしまったら、私はもう創作を続けることはできないだろう。
 
 
 
 
***
 
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2021-12-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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