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旅先のお宿の朝食が、大切なことを思い出させてくれた話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:三武亮子(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
正月明けから、金沢にいる。この町に「雨庵」(うあん)というホテルがあるのをご存知だろうか?
 
北陸新幹線開業に合わせて、金沢に新しくオープンしたお宿だ。
 
「1年のうち200日は雨」という金沢にちなんで、雨の日だからこそ楽しんでもらいたい金沢のスポットを提案したり、ホテル館内で金沢や石川県を愉しめる工夫が、食や書籍、館内装飾など随所に散りばめられている。
 
そんなホテルが提案する朝食が、これまた素晴らしく楽しかったのだ。
 
何が楽しかったかって?
 
それは、食材の一体感。バランス。
 
メニューの内容は、「洋」の王道。
 
・地元のおいしいパン屋さんのパン
・地域のさつまいもで作ったポタージュ
・北陸で作られたヨーグルト
・能登で作ったベーコンとソーセージ
・能登の野菜のピクルス
・ゆでじゃがいも
・ほうれん草のソテー
・卵
・サラダ
 
一見すると、よくあるパターンだ。
 
ホテルや宿が地域の特色を活かすために地産地消を謳い、地元の食材を使った料理を提案するのは、珍しいことではない。中には、生産者の名前を紹介し、こだわり抜いた食材を紹介してくれるところもある。
 
このホテルの場合、単に食材を紹介して終わりではなく、1つのストーリーとなって、私の中にじわりじわりと広がっていった。
 
そもそも私にとって、「食」を通して地域を知ることは、ガイドブックを読むよりも大切。”くいしん坊”と言ってしまえばそれまでだが、日頃から、食の良し悪しで自分の気分がアップしたりダウンしたりするほど、食は自分の中で重要な地位を占めている。
 
 
美味しい料理が気分をアップさせてくれるのは、もちろんのこと。でも、その上をいくレベルが、料理を食べているうちに、段々とイメージ広がって映像となり、残像となって記憶に残ること。もしくは、その料理を表現する言葉が浮かぶこと。
 
おいしいワインを飲んだ時に、「お花のような」とか「森の湿った葉っぱのような」という表現があるが、そんなイメージに近いように思う。
 
この時の朝食は、気分上々。さらに穏やかで優しい空気の中で牧草の草をはむ牛と、静かな青い海……という脳裏に浮かんだ風景がお供になった。
 
これは朝食の中でも、スキレットに盛られた料理によるところが大きいかもしれない。
 
個々の領地の味付けや調理の仕方を言い出したら、塩を一振りしたらいいのにとか、脂をもう少し拭ってから焼けばいいのに……と気になる点はいくつかある。だけれど、そんなことよりも、1つ1つの食材が、そこにいる役割みたいなものを心得ていて、素直にその役割を果たしている気がしてならなかった。
 
おかしな例えだとは思うけれど……乃木坂46みたいな感じと言えば、分かりやすいだろうか? 強く個人の立場を主張する人がいるわけではなく、互いに譲り合って成り立っているグループ。
 
とにかく、すごく楽しかったし、心地よかったので、チェックアウトの時に、スタッフにお礼を伝えた。「美味しかったし、楽しかった」と。
 
すると、スタッフは穏やかな口調で「……。(笑顔)ほんとですか? おいしかったですか……? 嬉しいです。ありがとうございます」と言ったのだ。
 
私は、その反応が意外だった。
 
本当はスタッフから、自信満々に「ありがとうございます!お客様からも評判がよくて」とか「そうおっしゃて下さるお客様が、多いんです」といった返答を期待していた。
 
さらに突っ込んで、「シェフはどういった方ですか?」と尋ねてみた。
 
すると、「シェフはいないんですよ……」と言うではないか。
 
またもや意外な答えが返ってきた。私は、その答えの意味がわからず、しばしぽかんとしていた。
 
その様子を見たスタッフが、「みんなで作ってるんです。シフトに合わせてですけど、誰が作っても作れるようなやり方を採用しているんです」と話してくれた。
 
この話を聞いて、「そういうことか!」と、合点がいった。
 
主張するわけでもなく、食材の持ち味を損なわないよう、最小限の調味料で素直に調理された料理たち。
 
そう、ここのスタッフは総じて若い世代が多く、互いに気を配りながら爽やかに丁寧に接客をしてくれる。宿泊客が居心地が良いように、そっと寄り添ってくれる感じだ。「真心」という言葉が似合う。
 
この一件で、ふと我に返った。
 
12月に入ってから、あれやこれや考えることが増えて、自分が進めるプロジェクトをこなすには、ああしてこうして、これを避けて。と、一人よがりなことばかり考えていたな。と。
 
「一人でできることは限られている。みんなで知恵を出し合い、力を合わせることで、不可能と思えることも可能になる」という表現を思い出させてくれた。
 
「『忙』という漢字は、心をなくすと書く。どうか日頃から心に余裕を残しておくよう努めてください」。何年か前に住職が施してくれた説法が蘇った。
 
 
 
 
***
 
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2022-01-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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