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メディアグランプリ

奇蹟の再会と赤い糸


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:リヒターけいこ(ライティング・ゼミ12月通信コース)
 
 
私の海外在住歴は37年になる。
24歳で出会ったときは、まさか一生海外暮らしになるなんて
思ってもいなかったけど、人生の半分以上をドイツ人の夫と
暮らしてきた。子供たちも成人した今、私たちの関係は
夫婦であり、戦友であり、思い出を共有する家族でもある。
 
 
出会いはまだ広東語の喧騒に包まれた1989年の香港だった。
そのころ航空会社のCAとして香港に住み、会社の仕組みで
若くしてパーサーになって数ヶ月の頃。
 
 
彼はドイツから初めてアジアに移住して1年目という、当時の香港
では「フレッシュな白人」という印象。
西洋人がアジア圏に長く住むとアジアの魔の壺にハマってしまう
ことが多くて、女性問題で家庭崩壊したり、白人というだけで勘違い
してしまって、自分でも気づかないうちに偉くなったように錯覚して
しまう態度のデカい人をたくさん見ていたからかもしれない。
 
 
 
私は彼の務めるホテルの常連客だった。そこは香港でも知る人ぞ知る、
料理は抜群に美味しくて、サービスもさすが5ッ星。ラッキーなことに
会社のIDを見せるだけでラウンジでの飲食が1割引という穴場で、
女友達とよく利用していた。
 
 
ある時、珍しく知り合いの男性とドリンクをするために立ち寄ろうと
エレベーターに向かっていくと、休憩から戻った彼がエレベータを待って
いた。当然のようにドアを片手で抑えて、どうぞお先に、のジェスチャー。
嫌味のない自然な仕草に彼の人柄が現れていた。
 
 
運命のいたずらだったのだろう。私が待ち合わせしてた知人は細く長い
ラウンジの反対側で待っていたから、お互い気づかず1時間ほど経って
しまった。すると彼が突然目の前に現れた。
 
 
「失礼します、ウェイターから聞いたのですが、私のことをご存じだ
そうですね」といわれて、真っ赤になる私。そういえば、手持ち無沙汰
な私に雑誌を持ってきてくれたウェイターに、質問したんだった!
 
 
「あの背が高くて髭生えてる人って新しいマネージャさん?」
 
 
ただの勘だったのだけど、どうも着てたジャケットがホテルの
スタッフ感出してたし、そういえば前のマネージャーって転勤
するんだって言ってたし。
 
 
それでウェイターさんがキューピットになったわけだけど、
穴があったら入りたい! ってあんな時に使うモンだと初めて
知った。無論呼び出そうなんて魂胆はなかったから、ひたすら
誤解だと説明した私。でもそれがきっかけで数週間後食事に出かけ
ることになり、4年後彼の勤務地バリ島で結婚。
出会いなんて期待してない時に訪れるらしい。
 
 
 
 
さて、あることが起こったのは結婚10年後。ある日突然、私の脳裏に
独身時代の記憶が蘇った。
「あ! 私たちドイツのあの場所ですれ違ってた!」
あの場所というのは、CAとしてフランクフルト便に乗務する時常宿
だったホテルの廊下。そこですれ違いざまに、よくドイツ人が挨拶で
言うように、「ハロー」と言いながら宴会場のドアの中に消えて
いった背が高い人。
 
 
でも私が思い出したのは、それじゃなくて。その後に何度もフランクフルトで
同じホテルにチェックインする度、無意識のうちに同一人物を目で探して
いた自分の姿だった。
 
 
ある時夫と背格好が似てて髭までそっくりだった人をフロントオフィスで
見つけた際「このひとじゃない••••••」ってがっかりした自分と、2度目
はその人さえ見つからなくてがっかりした自分をしっかり思い出したのだ。
え? 一体どういうこと?
と聞きたくなったのは私のほうで、思い出した時夫に
「あなたと背格好がそっくりな人いたよね??」と食いついたけど
笑い飛ばされたっけ。
 
 
まあ、そんな作り話のようなストーリに対する普通の反応ではある
と思う。
 
 
それが一昨年、彼がアルバム整理していたら証拠写真が出てきちゃった。
それは夫と背格好が全く同じ男性と夫が、隣同士で笑いながら
映ってる36年前の一枚だった。
その写真が出てきてびっくりしたのは夫の方で、なんとそのホテルには
2年もいたというのに写真はその一枚だけしか持ってなかったらしい。
私、思いっきりドヤ顔に。
 
 
 
あー。あの記憶は間違ってなかったんだ。
でもこれって、赤い糸ってことなんじゃない? と思いながら、
さらに不思議なことに気がついた。
 
 
実は夫、エレベーター前で何度も不思議な出会いをしているのだ。
一人は結婚前一緒に仲良くしていた女友達で、もう一度は
スラバヤに住んでいる超お金持ちインド人夫婦。
 
 
すごく仲が良かった女友達は結婚してドイツに住んでると聞いていたし、
重なる引っ越しですっかり音信不通。それから、漫才みたいに面白い
インド人夫婦だって、スラバヤ時代の思い出話には必ず登場した
大好きなカップルだった。
 
 
だいたい、ホテルの10台もあるエレベーター、その日のその時間、
その場に同時にいる事自体が変だ。さらに別の土地でもホテルのエレベー
ター、その日、その時間、その階に同時にいるってやっぱりおかしい。
夫には特技とも言えないような変な才能があるとしか思えない。
だけど赤い糸を引き寄せたのは、実は私なんだ……って思っているのは
夫には言わないでおこう。
 
 
 
 
***
 
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2022-01-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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