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犬を飼ってわかったこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:わこ(ライティング・ライブ東京会場)
 
 
「ペットは家族」と今の時代はとても大事にされている。
ペットとは軽く言えないほど、本当にみんな大事にしているなと特に友人を見ていると感じるのである。
 
ペットと言っても、犬や猫だけではなく、珍しいサルや可愛いキツネ等、とにかく今や自分が一緒に住みたいと思うペットを皆さん飼っているようだ。
 
私は18年間犬を飼っていた。柴犬の女の子。
「高校に合格したら何でも買ってやる」と、合格という餌につられて高校受験をしたのだ。
無事、高校に合格し、父とペットショップへ。
母からは、女の子は絶対だめだといわれながら店に行った。
 
今やペットは、多くの皆さんが家の中で一緒に生活をしているようだが、かれこれ40年ほど前は、柴犬は外の犬小屋で飼われていた。そのため、女の子は外に出しているといつの間にかお腹に子供がいることがあったので、それを母は嫌がったのだ。
 
私は柴犬が大好きだった。目はぱっちり。大きくなると耳はまっすぐ立っていて、しっぽがくるっと巻き上げている。凛々しくて大好きだ。
 
店員さんに「男の子はどれですか?」と尋ねる。
「こちらです」と指さされたケージを見ると、5頭の柴犬がぐったりと横たわっていた。近づいても反応はない。
横のケージを見ると、1頭だけ別に柴犬がいた。私と目が合うと、ニコッと笑ったかのように目が開き、スキップするかのように近づいてくる。
店員さんがそれに気づき、その子をケージから出して私に抱っこさせてくれた。
しっぽを小刻みに振りながら、私の顔をなめにきた。
可愛くて仕方ない。
 
父に「この子がいい!」と話すと、店員さんが「実は女の子なんです」と。
父と私は、顔を見合わせ「お母さんに怒られるよね」といって、その子をケージに戻そうとした。が、しかし、その子は懸命にケージに戻ることを拒否。両足を突っ張り棒のように伸ばし、中に入ろうとしない。
店員さんと三人で奮闘したが、彼女の決意は半端ないようだ。
 
父と顔を見合わせ「男の子は元気ないから、やっぱりこの子がいいよね」と言葉にしなくてもわかってくれたようで、「お母さんに怒られるけど仕方ないな」と言って連れて帰ったのを今でも覚えている。
 
我が家に来たのは約生後3か月。まだ1kgほどの小さな身体だ。
少しぽっちゃりで丸っこく、ころんとしていたので、単純に「こ」を抜いて「ろん」と名付けた。
 
犬のお世話が大変なことは、全くわかっていなかった。
食事の管理、運動、フィラリアの予防接種等とにかく、人間と同じくらい手がかかる。
(フィラリアとは、犬糸状虫ともいわれる。蚊が媒介して犬の肺動脈や心臓に寄生し、全身の血液循環や内臓にも深刻な障害を与える恐ろしい虫で、死に至る)
 
学校に行く前、寒くても散歩に行った。夕方も合わせると1日2回行くこともあった。時々、面倒になって散歩コースを短縮することもあったし、さぼることもあった。
 
食事は1日2回で、朝はご飯にお味噌汁を薄めて混ぜたご飯。夜は、ドックフードだった。
今のように、ペットショップにあるおしゃれな犬用ドライ納豆やお菓子などはない。
ろんのおやつは、自分の体と同じくらいの大きさの牛骨だった。
想像してほしい、可愛らしい犬の顔が、自分と同じくらいの大きさの骨に食らいつく。その時だけは猛獣の顔になっていたことを。
 
私が仕事を始めたころには、彼女はまだ元気だったが、私の帰りが遅くなったりで、ほとんど、散歩に連れていくこともなかった。
ただ、庭に他の犬が入らないように柵を作っていたので、彼女はそこを駆け回っていた。
今思うと、首輪もなく紐にもつながれておらず、自由に庭を駆け回っていた。
このころは、本当に彼女と一緒にいる時間は減っていた。自分のことしか考えていなかった。
 
人間でいえば90歳位(中型犬の場合)彼女が16歳だっただろうか、徐々に彼女の眼は見えにくくなっていた。黑い瞳が白く濁っていたので、人間でいえば白内障だ。
そして、彼女はとうとう自分の足で歩くことはできず、食事や水も私の手から取るようになった。排便もしかりだ。
 
歯だけは強く、1本なくなっただけで残りはしっかりついている。
食べる意欲はあったが、なんでも食べることができなかった。
彼女のために、毎週、パンを焼きそれを水に湿らせながら口元にやると、それだけは食べてくれた。
排便も自分ではできないので、おなかを擦ってだすしかない。
 
この時私は、車で15分ほどのところで仕事をしていた。
夜は、もう外に置いておくことができなかったので玄関に毛布をひいて寝かせつけた。
3時間ごとに、赤ちゃんが泣くかのように夜鳴きをした。
夜鳴きをするのは、首のヘルニアがあり痛みに耐えかねていたようだ。
ろんは、後ろ足二本で立ち、飛ぶことが多かったことが首のヘルニアの原因となっていた。犬も人間と同じようにヘルニアにもなるし、同じものを食べていれば糖尿病や肝臓を悪くするのだ。
 
私は、玄関の横に布団をひいて、彼女の看病をした。
夜中に鳴くと、抱き上げた。彼女が落ち着くまで。
彼女が眠りにつくと、寝床に戻す。そして、また鳴くと抱き上げて……
夜中に何度も繰り返す。
 
仕事に行くため6時には起きる。仕事に行く前は、必ず、彼女を庭に戻し、日の当たる場所へ毛布とタオルを敷き、腰骨が痛まないように便座のようなものをタオルでつくる。
水を飲ませ、気になりつつも仕事へ向かう。
 
昼休みは、すぐに帰宅し、彼女に水をやり寝返りをさせる。
尿は残念ながら、タオルの上に垂れ流しだ。タオルを変えることも忘れない。
仕事が終わると、まっすぐ帰宅。彼女と一緒に過ごす。
この生活を2年ほどやっていた。
 
もうすぐ大学だねと、よく冗談で言っていたその18歳の年、彼女はこの世を去っていった。
 
私には子供はいないが、今思うと、彼女はこのことがわかっていたかのように私に不思議な体験をさせてくれた。夜泣きをする赤ちゃんをお持ちのお母さんの気持ちがわかる。
それまで、動物は好きだったが、命に責任をもつとか思ったことがなかった。
 
人間の赤ちゃんは大きくなるごとに言葉を覚え、自分の意思を伝えていくが、動物はそうではない。私以外、頼るものはいないのだ。言葉もわからない。
 
周囲からは、あの時の私は、「犬のためにあそこまでやるのか」と言われた。
今思うと、はっきり言えば仕事と看病で疲れ果てたが、自分でもよくやったと褒めたいくらいに、小さな命と向き合っていた。いや、命に大きいも小さいもないのだが……
人間、想いがあればできないことはないのだなと、この時感じた。
 
目の前に、ペットであろうと、赤ちゃんであろうと、高齢者であろうと、何であろうと「命」というものがあるのであれば、私は、今の私にできる最善のことは何なのかを考え、行動することができるきっかけをもらったと感じている。
 
老いを感じつつある年齢になったからこそ、彼女がその時どんな気持ちだったかと改めて考えることが多くなってきた。
あの時、犬を飼っていなかったら、私はこんなことを感じたり、考えることはなかったと思っている。
経験したからこそわかったことだ。
 
そして経験は、自分が思ったことを行動に起こさなければできないのだ。
行動を起こすことが大切ということも、このことを思い出しながら改めて感じた。
 
 
 
 
***
 
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2022-01-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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