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人生を楽しく生きるのは、もしかしたら簡単なのかもしれない

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:鈴木 勇気(ライティング・ライブ大阪会場)
 
 
「鈴木くん、ちょっとこっち来て」
支店長にふいに呼ばれた。
 
支店長とは役職が3つも違うので、普段会話をすることがほとんどない。挨拶を交わす程度しかない会話をする機会がない。
そんな支店長から直接呼ばれた。
(どの件がバレた? この前、二日酔いのまま出勤したことか? サボって車で寝ていたことか? 後輩の女の子を飲みに誘っていることか? でもそんなことだったら課長レベルからの呼び出しだろう。となると知らない間に、何かやらかしたのだろうな)
と考えながら、なんでしょうか? と支店長のもとへ近づいて行った。
 
「鈴木くん、来月から本社勤務ね。部署は来週に教えるけど、引っ越しと引継ぎの準備を進めておいてよ」
 
ちょっと何を言っているのか分からない。たしかに地方の支店に単身赴任できていて、一日でも早く家族がいる本社勤務に戻りたいとは言っていた。でもこのタイミング? 私よりも長い間、単身赴任している人がいるから、まずはそっちじゃないの?  そのあたりの空気は読んでほしい人事異動だった。
若干の気まずさを感じながらも、本社に戻れるならありがたいから、よしとしよう。
 
2年半の地方生活は突然の終わりだった。通常は3年。長いと10年と言われていたから短い方だ。本社に戻るのだから悪い話ではないのだろう。
 
そのあとは通常業務を終えて、通い慣れた道を一人で歩いていた。
なんだかんだで、もう何百回も歩いた道だ。
夏は日差しが強く日陰を探しながら歩いたし、自然が多いので冬の風は冷たい。
もうすぐこの景色も見納めなんだなぁ。あと1年は歩くと思っていたのに変な感じだ。
そんな中、ふと目に入ったのは、どこにでもありそうな普通の定食屋。
あれ? こんな店あったっけ? 店構えから新しい店ではない。行ったことないうえに見覚えもない…… そんなことある?
なんで今まで気づかなかったのだろう。見えてはいたけど認識はしていなかったってことか?
今度は何度も通ったすきやとセブンイレブンがとても明るく見える。
これは、なんなのだろう。とても不思議な感じがした。
行ってみたいと思っていた店・仲良くなりたいと思っていた人・もっと仲良くなりたかった人、歩いているといろんなことを思い出したり、考えたりもした。
普段はこんなことないのに…… なんなのだろうか?
 
「来月から本店勤務ね」
 
たったこの一言で通いなれた道がいつもと違う道に感じるようになっていた。今までは家までさっさと帰るための道が、急にいい感じの通りに見えてきた。
毎日同じことの繰り返しで退屈な生活だと感じていたのは自分の心が閉まっていたからだったのかも。心を閉じているから視野が狭くなって新しい情報が入ってこなくなって、つまらないなって感じていたのかもしれない。
 
そういえば12年前、息子が産まれたときも同じようなに少しのきっかけで見える世界・感じる世界が変わったことがあった。
 
息子の散歩がてらベビーカーを押しながら出かけると、息子の視線で見ることが増えて同じ道とは思えないほど、見え方が違ってきた。185センチから見る景色と100センチから見る景色は全く違うのだ。
電車が好きだった息子を連れて乗り慣れた東急東横線の電車を一時間も見ていると様々な人が電車に乗っているのが見ることができた。
疲れたサラリーマン・元気な高校生・楽しそうにおしゃべりをしている主婦たち。よく見る普通の光景と思っていたが、じっくり見てみると疲れたサラリーマンにも、いろんなタイプがいて、もっと頑張ろうとしている人・もう帰りたいと愚痴っている人・ただボーっとしている人。彼氏ができた女子高生・数か月たつと彼氏の愚痴を言っていた。あの時の笑顔がどこにいったのだ。特売品の話をする主婦・働こうか悩んでいる若い主婦。いろんな人生があるのだって気付かされる。
電車に乗ってちょっと遠出をすると、スロープのない階段・エレベータが少ない駅・小さな段差・やたらと目に入るベビーカーを押す人たち。息子が生まれる前には、全く気にならなかったことがベビーカーを押すだけで気が付くようになっていた。
ベビーカーを押すことによって私が見える世界が広がったのだ。
ベビーカーを押すということだけでこんなにも世界の見え方が違ってくるとは思っていなかった。もしかしたら、今までの人生を損してきたのじゃないか? 毎日が同じことの繰り返しでも人生は進んでいく。何か面白いことがないかなぁと一日をだらだらと過ごす、今週も何もなかったなぁ、気が付けば一カ月が好き季節は変わり一年が終わっている……
そんな生きかたになっていないか?
楽しいことって、誰かが与えてくれるもので待っていれば、その時がくるのだと思っていた。けれども、もっと身近に道端に落っこちているのかしれない。もしかしたら、隣にずっとあって私に見付けられるのを待っているのかもしれない。それを見付けて自分で掴みにいかないと楽しいことにならないのじゃないか?
楽しいことがそこらに転がっているとしたら、私のアンテナ感度が悪いから受信できていなかったのかも。
人生を楽しむには、いろんなアンテナ立てて、しっかり楽しいことを掴むだけ。
それなら自分にもできそうな気がする。
 
 
 
 
***
 
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