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ケチな夫は、こうしていなくなった……。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:みっこ(ライティング・ゼミ12月コース)
 
 
うちの夫は「ケチ」だ。
スーパーのお値打ちコーナーを見ながら、
今日もニヤついている。
 
その光景に、私はため息をついた。
はぁ……またか……。
誰か……この気持ちを共感してくれる人は
いませんか?
 
この話は「ケチ」な夫が、「ケチ」じゃなく
なるまでの変身ストーリーだ。身近な「ケチ」
に嫌気がさしているあなたも、自分は結構
「ケチ」な人間だと悩んでいるあなたも……
これを読めば、きっと心が軽くなるだろう。
 
今思えば、夫は昔からケチだった。
本や洋服も、古本や古着が好きだった。
 
先日も、こんなことがあった。
夫の洋服を、洗濯機から取り出した時のこと。
まさか……
ズボンのお尻部分が破れていた。
 
どうしたら、こんな風に破れるのかは謎だっ
たが、いつからこんな状態だったのかが気に
なった。まさか気付かずに、ずっと破れたまま
履いていたのではないかと。
 
帰宅した夫に確認すると、
「あ~! そうそう!
あれ破れてるんだよね!」
 
その言葉に、衝撃を受けた。
 
えっ!? 知ってて履いていたの!?
それなら、新しい服を買えばいいのに……。
 
夫がここまでケチだったとは……。
私は少しあきれた。
 
きっと私なら、喜んで新しい服を買うだろう。
だって、私にとっては服が破れるなんて、
願ってもないチャンスだから。
 
私は、かなり物持ちが良い。
いや、むやみに物を所有していると言った方が
いいかもしれない。
新入社員の頃に使っていたお弁当箱は、
なんと小学生の頃に使っていた物だった。
改めて考えていたら、自分でも笑ってしまった。
 
それは、いくらなんでも使いすぎだろ!
とツッコミたくなる程だ。
でも、捨てられなかった。
愛着があるとか、そういうことじゃない。
理由は簡単。壊れていないから。以上。
 
まだ使えるものを捨てるという選択は、
私にとって苦汁の選択だ。
 
ほんとに捨てるの? まだ使えるのに……。
物たちに、そう責められているような気持ちに
さえなる。
 
その言葉をさえぎり、物たちから目をそらし、
「えいやっ!」と思い切ってごみ箱に投げ
捨てる。その瞬間の罪悪感と言ったらない。
その後も、未練タラタラ。何度もごみ箱を
見返すのだ。
 
だからこそ物が破れたり、壊れたりした時は、
私には願ってもないチャンス。
心置きなく捨てられるチャンスなのだ。
 
それなのに、夫ときたら……
一体、いつ捨てるんだろう。
せっかく、処分するチャンスがやってきたのに、
そのまま使っているなんて。なんだか少し腹が
立ってきた。
 
「ねぇ、それなら新しい服を買ったら?」
夫にそう伝えると、すぐさま、こう返ってきた。
「まだ履けるから、新しいのは買わなくて
いいよ」
 
意味不明な回答を聞いて硬直している私に、
夫はこう続けた。
「その服は、おばあちゃんが直してくれた
服なんだ」
 
そう言われて服をジッと見ると、破れている
ように見えた箇所はきちんと穴が塞がれていた。
 
亡くなったおばあちゃんが直してくれた
この服は、夫にとって形見の1つのようなもの
だった。お裁縫が得意なおばあちゃんに、服を
直してもらった時のことを話す夫はとても嬉し
そうだった。こんなにも喜んでもらえるなんて、
おばあちゃんにとってもステキな思い出だった
にちがいない。
 
この服は夫にとって、どんな服よりも価値
があった。「破れた」というマイナス
ポイントは、もはやマイナスではなく、プラス
だった。「破れた」箇所は丁寧に繕われ、その
繕われた箇所こそ、この服のお気に入りポイント
になっていたから。
 
その時、思った。
夫は「ケチ」じゃなかったのかもしれないと。
「ケチ」って卑しいイメージがあったけど、夫
の生活にそれは見当たらない。むしろ、心の
豊かさを感じたのだ。
夫に当てはまるのは「ケチ」じゃなくて……
「節約家」という表現だったのかも。
 
「ケチ」と「節約家」は辞書的には、こんな
意味らしい。
 
「ケチ」=むやみに金品を惜しむことや、
気持ちや考えが卑しいこと。
「節約家」=物や金を無駄遣いしない人のこと。
 
「ケチ」には、「気持ちの卑しさ」が書かれて
いるが、「節約家」には気持ちの面は書かれて
いない。でも、節約家の暮らしを考えると、
それは「気持ちの豊かさ」につながるのでは
ないだろうか?
 
無駄遣いしないためには、無駄かどうかを
見極める必要がある。
つまり、自分の生活と向き合う必要があるのだ。
むやみに「買う」でも「捨てる」でも「所有
する」でもなく、自分に必要な物を見極めた
暮らし。それは、大切な物に囲まれた暮らし
とも言い換えられる。
それって、豊かな暮らしじゃないだろうか。
 
夫の暮らしは、大切な物に囲まれている。
 
スーパーのお値打ちコーナーで見つけたあの
お菓子も、古本屋さんで見つけたあの本も、
夫にとっては宝物なのだ。
決められた棚に陳列してある、お菓子や本とは
ちがう。ここで出会えたことが奇跡! という
ことなのかもしれない。
 
そう考えると……むやみに物を所有する私
こそが、卑しいのではないか?
私は急に恥ずかしくなった。
そして、心の中で謝った。
 
夫よ……ケチと言ってごめん……。
 
 
この出来事の後、私は「メルカリ」を始めた。
ご存知の方も多いと思うが、「メルカリ」とは
不要品を売ったり、買ったりできる人気の
フリマアプリ。そこに、出品するようになった
のだ。
 
私がむやみに所有してきた物も、どこかに必要
としている人がいる。私にとってのただの
所有物が、誰かにとっての「大切な物」に
変わった瞬間、私の生活は少し豊かになった
気がした。
 
変わったのは……夫じゃない。私だった。
夫は何も変わらない。
 
うちの夫は「節約家」だ。
スーパーのお値打ちコーナーを見ながら、
今日もニヤついている。
 
 
 
 
***
 
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2022-02-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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