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15年間でいちばん嬉しい日


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:牧 奈穂 (ライティング・ゼミ12月コース)
 
 
「もしかして、息子さん、生徒会長をしていましたか?」
 
私が働く塾に手続きに来た保護者に、問いかけられた。
「そうなんです」
と私は答える。どうやら、息子と一緒に生徒会で働いてくれた、後輩のお母さんのようだ。
 
様々なことがあり、学校に行くのを嫌がっていたその子にとって、生徒会は、唯一、居心地のいい場所になったらしい。
 
「実は、息子さんのおかげで、私の子は、不登校にならずに、学校に行けるようになりました。いつも、我が家には、息子さんの話題がたくさん出ていたんです。高校受験もうまく行くよう、家族みんなで願っています」
 
そう話してくれた。さらに、
 
「うちの子も、生徒会を3年間続けていくと話しています。息子さんが3年間したように、前期の役員をしたいそうです」
 
と伝えてくれた。
 
息子は、3年前、その子のように、「来る予定ではない中学校」に入学した。不合格で傷ついた心でいた時、「生徒会に入ってみたらどうかしら?」と、担任の先生に背中を押され、生徒会に入った。
 
そして、当時、2歳年上の生徒会長と初めて出会う。
「君は、先生に言われて、生徒会に入ったのではないかな?」
そう問われると、
「はい、実は、そうなんです」
と、息子は正直に答えた。
 
「実はさ、僕も1年の時、担任の先生に言われて、何となく入ったんだよね」
そう語る生徒会長は、すごく仕事のできる先輩だった。
普段、冗談を言っては、ヘラヘラしているのに、裏の顔を持っている。生徒会の中に入ると、
司令塔となり、皆に指示を与え、人を束ねる力がすごいのだ。その先輩を慕う息子に、
 
「君も、きっと生徒会長になるよ」
と言い、息子を自分と一緒にいつも連れては、仕事をする姿を見せ、たくさん教えてくれた。
 
「本当に仕事がしたかったら、前期の生徒会に入るんだ。前期は仕事がたくさんあって大変だけど、やりがいがあるから……」
 
そう言われた息子は、先輩が予言したように、前期の生徒会長となったのだ。
 
息子の後輩のお母さんと話をした日、仕事が終わり、車の中に戻ると、すぐに息子に電話をかけた。聞いた話を全てしたが、話しながら、涙があふれてくる。
 
「今まで、色々嬉しいことがあったけれど、今日聞いた言葉が、一番嬉しいほめ言葉だったよ。難しい高校に受かることもすごいけれど、それよりも、もっともっと嬉しい。後輩に、いいことをしてあげたね」
 
そう息子に、話をした。
賞がもらえる、生徒会長になる、高校に合格する……何かを成し遂げた時、様々な達成感はあるだろう。そして、頑張った先の結果して、嬉しいことだ。
 
そして、その目に見えるような結果を、ほめてくれる人もいる。だが、その結果ではなく、息子が、ただ息子らしく生きていて、それが誰かの支えになり、役に立てたと分かった感動は、初めてではないだろうか。
 
私の知らないところで、息子について明るく話し、その子が幸せを感じている。そのことは、何かの賞を皆の前でもらうより、感動的で、私は本当に嬉しかった。
 
息子は、
「あいつは、頭の回転がいい子だって、思っていたよ。でも、僕は、何もしてないけどなぁ」と、実感がわかないようだった。
 
「お世話になった、元生徒会長も、たくさんしてあげたって言わないのではない?」
そう息子に話をすると、
「そうだねぇ。そう言いそうだよ」
少し思い出したように、息子は笑いながら答えた。
 
本当に相手を思って動く時は、「してあげている」とは思わないのかもしれない。だから、その心がシンプルに相手の心に刺さり、その優しさは心に響く。
 
息子は、息子のように学校を嫌がる子を、知らぬ間に助けていたようだ。傷ついた息子が、元生徒会長からしてもらったように、息子もしていたにすぎないが、生徒会の伝統を、確実に受け渡していたことにもなる。
 
仕事を引き継ぎ、次に渡すことが、本当の伝統ではない。息子は、元生徒会長からの「心」を伝えることができたのだ。
 
息子は息子らしく過ごし、その姿で、誰かを幸せにできた。何か大きなことを成し遂げるより、感動的で、今までにない嬉しさがあふれた1日だった。
 
だから、帰りにスーパーに寄って、普通は買わないフルーツの盛り合わせで、息子が人を幸せにしていたことをお祝いした。息子は、当たり前の仕事しかしていないから、ピンとはきていなかったが、私がこんなに泣いて喜んだ日はないはずだ。
 
そして、特別に……と、息子が好きな、少し高めのストロベリーアイスもプレゼントした。
 
息子の15年を見てきて、一番感動した1日だった。
 
これからも、息子らしさを大切に、「今」を息子らしく生き、周りの人を幸せにしてほしい。
 
 
 
 
***
 
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