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メディアグランプリ

思い込みの落とし穴


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:飯髙裕子(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「あっ」と思った時には、私の体はクルクルと回転しながら斜面を転げ落ちていた。
 
ほんの数秒の出来事だったと思うが、まるでスローモーションの動画を見ているかのように、真っ青な空が3回ほど目に映った。
 
体が止まって、何が起きたのかもよくわからず、私は自分の乗っていた自転車とその後ろに乗せていた息子の姿が周りにないことに気が付いた。
「息子はどこ?」
慌てて上を見上げると、奇跡的にも土手の木の枝に引っかかった自転車がそのままの状態で残っており、その後ろのチャイルドシートに息子も座ったままでいた。
良かった。無事だ。
 
その横では、見知らぬ男性が「大丈夫ですかー?」と叫んでいる。
 
這うようにして土手をよじ登ると、私はその男性に無事であることを告げ、大急ぎで自転車に乗り家に向かった。
 
その日は、友達の家に朝から行くことになっていて、少し早めに自転車で私は家を出た。
もちろん息子は自転車の後ろに乗せていつものパターンである。
川沿いの土手の道をスイスイと走っていた私は後方から車が走ってきていることに気づいた。
端によけてやり過ごそうと、左足を地面に着いた。そのはずだった。
ところが、足を置いたところに地面がなかったのだ。背の高い草が生い茂り、地面は見えなかったが、斜めになっていたのだろう。
体が一気に傾いて、私の体だけが自転車から離れてしまったらしい。
 
仰天したのは後ろの車の人だったろう。
急に前にいた人間が消えたのだから。
慌てて車から降りて、私の安否を確かめてくれたようだ。
幸い、自転車と息子はそのままの状態だったし、私も怪我はなかった。
 
ただ、家に戻ってちょうど会社に出かけるところだった主人は、驚いてこう言った。
 
「何があったの?大丈夫?」
その時の私の様子といえば、着ていたブラウスの後ろボタンがいくつかなくなり、キュロットの足の部分にかぎ裂きができて、それはもう悲惨な格好であったのだから当然だろう。
 
土手が柔らかい草であったのが幸いだったとはいえ、がさがさとした茎や葉をなぎ倒しながら転げ落ちたのだから洋服の生地はそうなっても当然だと思う。
 
少し時間に遅れてそのあと友達の家に向かったのは言うまでもない。
 
この一件で、私は思い込みの危険を痛感した。
自分だけでもけがをしたら大変なのに、息子を連れていたということがさらに怖さを増した。
 
普段意識せずにやっていることは、誰しも自分の経験内でのことしか想像していないから、当たり前のように自分の頭の中で描いたストーリーが流れている。
しかし、実際は、そうでないことが結構あるのだということに改めて気づいたのである。
例えば、スカートをはいて歩いている人がいたら、女性だと思う人は多いだろう。
そういう先入観が頭の中にあるから、そうでないことは想像しにくい。
実際には、男の人でもスカートをはいている場合はあるし、それがおかしいという判断は個々によってそれぞれである。
 
普段の生活の中で、判断することというのは、星の数ほどあると思うが、その時に自分の思い込みで誤った判断をしてしまわないように意識することは大切なことなんだなとその時わかった気がした。
 
もう、ずいぶん昔のそんな出来事を思い出して、私は自分の中の大きな思い込みにはっとした。
昔から、人と話すことが苦手で、人間が好きではないと思っていた。
初めて会う人とは、何を話していいかわからなくなり沈黙の時間が苦痛だった。
だけど、本当にそうだろうか? 確かに友達の数が多いとは言えないし、今でも初めて会う人と話をするのは得意ではない。
でも、自分の想いを話せる人と繋がりたいと、思っているのではないかという気がしたのだ。
昔から、周りの人をよく見ていた。外見もそうだが話す言葉にとても興味があって、自分と同じような考え方の人はなんとなくすぐにわかった。
 
そうか。仲良くなる人は、私と話の合う人であり、私の考え方に共感してくれる人だった。
そして、最近はSNSで自分の想いを発信している。
まさに、自分の想いを誰かに伝えたい、同じような想いを共感したいという気持ち。
私は、人が嫌いではなかったんだなと今頃やっと気が付いたのだ。
こんな気づきがあったのは、おそらくいろんな人の考え方を聞いたり見たりそして自分でも書くことに真剣に取り組み始めたことが影響しているのかなと思う。
今まで落とし穴に落ちていることにも気が付いてなかったんだなと思うと、思い込みはやっぱり危険だなという気がする。
 
お嫁さんが孫を自転車に乗せて保育園の送り迎えするのを、息子が心配するのは、昔のトラウマかなぁ? と、ふと思った。
 
 
 
 
***
 
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2022-03-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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