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たった1枚の付箋が私に教えてくれたこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:北江りな(ライティング・ライブ東京会場)
 
 
年度末は、大掃除をすることにしている。
新しい年度を迎えるための準備だ。
 
特に今年は、新しい部署に異動するため、デスクの整理を念入りにした。
こまめに掃除をしているつもりでも、意外とゴミは溜まっている。
いらない書類をシュレッダーにかけたり、知らぬ間に増えた文房具を片付けたり、やることは沢山ある。
 
デスクの奥の奥、普段は使わない引き出しを整理していた時、くちゃくちゃになった1枚の付箋が出てきた。
ひろげてみると、一気に懐かしさが押し寄せた。
 
「うける!」
 
正方形の付箋から、はみ出るぐらい大きな字で書いてある。
これは、先輩の字だ。
 
先輩は、私が新入社員として入ったときのお世話係だった。
指示は的確だし、理不尽なことは言わない。
何か問題があれば、守ってくれる。
いつも笑顔で包み込んでくれる。
今も昔も、理想の上司NO.1だ。
 
 
ある時、仕事でちょっとしたミスをした。
新人の私には、リカバリーが出来ず、先輩に相談した。
 
その時、先輩のパソコンに、
「うける!」と書かれた付箋が貼ってあった。
 
どういう意味だろう?
それどころではないのに、思わず聞いてしまった。
 
「これ、何ですか?」
 
すると、先輩はいつもの朗らかな調子で言った。
 
「なんか上手くいかないとき、うける! って思っていれば、大抵のことはなんとかなるんだよね」
 
「そんなもんですかねぇ……」
さすが、すごいポジティブだな、先輩。
 
「これ、貼っときな」
 
ミスをした私に、先輩は「うける!」付箋をくれた。
心の中は全然うける状態ではなかったが、とりあえずデスクに貼った。
 
すると、作業するとき、何をしようにも「うける!」が目に入る。
検索しようが、エクセルで表を作ろうが、メールを打とうが、
何をしていても「うける!」が私の頭の中を支配する。
仕事をしている間、知らぬ間に「うける!」が刷り込まれていった。
 
そうすると、何故だろう。
なんか上手くいかなくても、まあいいや! という謎のポジティブさが生まれてくる。
電話の向こうで色々と言われても、
うん、まあそういうときあるよね! うける!
と、思えるようになった。
 
仕事は、それぐらいのマインドが丁度いい。
何かあっても、大抵のことは死にやしない。
ミスをすれば、誰でも落ち込むものだけど、切り替えも大事なのだ。
 
当時の私は、仕事は完璧にやらなければ、と肩に力が入っていた。
職場では常に緊張状態だった。
先輩は、程よい力の抜き加減を、たった1枚の付箋で教えてくれたのだ。
 
 
入社して2年が経ち、先輩がジョブローテーション制度を使って、他の部署へ移動することになった。
正直、先輩がいないと仕事は回らない。
来年度からどうしたらいいんだ、と少し不安だった。
先輩はそんな私の雰囲気を察知して、ランチに誘ってくれた。
 
「先輩、どうして他の部署いっちゃうんですかぁ」
本気で困っている私に、先輩は言った。
 
「せっかくだから、他の部署でも仕事してみたいし、まだまだ知らない自分にも出会いたいんだよね。だから、自分がいなくてもいいように、しっかりと後輩を育てたんだよ」
 
当時の私から見て、先輩という存在は、完成形だった。
どこの角度から見ても完璧なのに、先輩は、そこから更に成長をしていこうとしていた。
2年経ち、やっと仕事に慣れてきたかも、と思っていた私だったが、まだまだスタートラインに立っただけ、だったのだ。
 
ずっと貼ってある「うける!」は、だんだん粘着力が弱くなってしまった。
先輩の字の付箋は、デスクの引き出しに大切にしまい、自分の字で「うける!」を更新した。
 
そして、私にも後輩ができ、先輩がしてくれたことを、自分も後輩にしようと決めた。
そうしてみると、先輩がなんとすごい存在だったのだろう、と改めて実感した。
自分が成長する以上に、後輩を成長させることは難しい。
それでも、「うける!」というマインドで、ポジティブに、後輩を育てようと思った。
自分とは違う人間だからこそ、尊重し、思い通りに行かなくても、そういうことあるよね、と思えるように、努力した。
 
大切にしていた先輩の付箋は、いつの間にかデスクの奥へ奥へと進み、くちゃくちゃになってしまっていた。
そんなことにも気づかず、私は、がむしゃらに毎日仕事に追われていた。
いつしか、先輩の背中を追うのではなく、自分の力で仕事をするようになっていた。
 
そして今年、私は、先輩と同じジョブローテーション制度を使って、他の部署でまた別の仕事を1からチャレンジすることにした。
きっと、分からないこともあるだろう。ミスもするだろう。
でも、私には「うける!」というマインドがある。
人生、七転び八起き。
間違えたら、うける! やっちまった! と、もう一度やり直そう。
新しい場所、新しい仕事に挑戦するのは、緊張する。
それでも、まだ見ぬ自分に出会いたい。これからの自分の成長を信じたい。
くちゃくちゃになった付箋を手に、私はまたスタートラインに立った。
 
 
 
 
***
 
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2022-03-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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