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メディアグランプリ

新玉ねぎ革命


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記事:林 菜緒(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
4月になると少し困ったことがある。
 
スーパーに買い出しに行くと、茶色い皮の玉ねぎが姿を消し、新玉ねぎばかり売られるようになるからだ。新玉ねぎを見ると「春が来たな~」と嬉しいようなウキウキしたような気持ちになるのに、料理の材料となるとどうやって料理をすればよいのか分からない、困った存在なのだ。
 
ふだん玉ねぎをよく使うのは野菜炒めだ。新玉ねぎは水分が多いので、茶色い皮の玉ねぎと同じように使うとべちょべちょになってしまう。見た目も悪いし、味もぼんやりする。新玉ねぎは収穫してからすぐに出荷されるので、水分が多いのが特徴だ。みずみずしくて肉質が柔らかく、辛味が少なく感じられる。茶色い皮の玉ねぎは、長期保存を可能にするために収穫してから一定期間乾燥した後に出荷される。新玉ねぎと比べれば水分は少なく、辛味もダイレクトに感じられる。
 
新玉ねぎの特徴を生かした食べ方は、おそらく生のままサラダにすることだと思う。でも私は、玉ねぎの生食がとても苦手だ。味が嫌いというわけではない。食べた後にいつまでも口の中に残る臭いが苦手なのだ。新玉ねぎに限らず、生のねぎを食べた後は、チューインガムを踏んでしまった時のようながっかりした気持ちになる。靴の裏にくっついたチューインガムは地面にこすりつけてこそげとったとしても完全にとることができず、ちょっとだけ地面にくっつく感じが残って、1日中不快感がまとわりつく。それと同じように、生のねぎ類を食べると特有の香りが口から鼻にかけて居座るので1日中憂鬱な気分になってしまう。だから、玉ねぎは必ず火を通してから食べるようにしている。
 
そういうわけで、新玉ねぎにしっかり火を通す煮込み料理を作ってみることにした。コトコト煮込んだらきっとおいしくなるに違いないと思い、シンプルなポトフを作る準備をした。ところが、トラブルが発生してしまった。夕食前に7歳と4歳の子どもたちを公園に連れていったら、友だちと遊ぶのに夢中になってしまい、全然帰ろうとしないのだ。ちょっとのつもりだったのに、大誤算である。「あと5分だよ」「やだね」を繰り返し、やっと家にたどり着いた時には、夕食を作る時間は30分くらいしか残されていなかった。もう時間がないので、新玉ねぎと豚の肩ロース肉を1口大に切って圧力鍋で煮ることにした。にんじんやじゃがいもを切る時間もなかったから、お肉と新玉ねぎだけ。その代わり、新玉ねぎはたっぷり3個使った。
 
火にかけると玉ねぎのいい香りがしてきた。時間もあまりないので、加熱は圧力がかかってから5分にした。ちゃんと火が通っているか心配だったけれど、圧力鍋は途中で中身を確認することができない。ドキドキしながら蓋を開けると、新玉ねぎはトロトロになって、黄金色のスープに変身していた。見た目はいい感じである。味付けはシンプルに塩でよさそうだと思ったけれど、失敗しないように家族の好きな白だし味にした。
 
新玉ねぎと豚肉だけの超シンプルな料理になってしまったが、結果的には大成功だった。生で食べた時のツンとした辛味や臭いは全て消え、代わりに新玉ねぎの甘味が口の中に広がる。広がるどころではない。爆増だ。幸せ感のある甘さで、どれだけでも食べていられそうだ。基本的には優しい味なので、もう少しパンチが効いた方がよければ、黒こしょうをかけるのがおすすめだ。脳も喜ぶ味で、食べ続けるよう指令が出ているのに違いない。
 
この名もない料理がすごくおいしかったので、次はカレーライスを作ってみた。新玉ねぎと豚肉を圧力鍋で煮たものにカレールーを加えるだけだ。これがまたすごくおいしかった。当たり前といえば当たり前だと思うが、改めて説明すると、スパイスのように強い食材がきても、新玉ねぎの甘味は全く負けていなかった。圧力調理のおかげで軽く200%を超えて増幅されている。甘みの元が新玉ねぎであることは、作り手でなければ分からないほどの変身ぶりだ。家族にも大好評で、カレー好きな息子は3回もおかわりをしてくれた。ふだんは偏食なので、私は食べてくれるだけで涙が出そうになる。娘も夫も「おいしい!」といってたくさん食べてくれたので、その日のカレーはすべてなくなった。
 
新玉ねぎは、子どもが大好きな仮面ライダーの変身ベルトのようだ。仮面ライダーの変身ベルトは普通の人間(といっても超イケメン&美少女だけど)をスーパーヒーローに変身させる。新玉ねぎはそれと同じように私が作る普通のカレーを「これ何が入ってるの?」と言わせるスーパーカレーに変身させてくれた。去年までどう料理すればいいか悩んでいたなんと嘘みたいだ。
 
公園が大好きすぎる子どもたちのおかげで、新玉ねぎ問題が解決した。予想を超えるおいしさは、私に「新玉ねぎ革命」をもたらした。これから春が待ち遠しくなる要素が一つ増えて、とても嬉しい。圧力鍋がなくても、コトコト煮込めばきっと同じように新玉ねぎの甘味を引き出すことができると思う。ぜひ、たくさんの人に新玉ねぎを見て、味わって、春の訪れを感じてみてほしい。
 
 
 
 
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2022-05-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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