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『私は嫌われている』のメガネは、どのようにして外せるのか


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:山本亜矢(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「ただいまぁ」
その声の発し方で、その日の出来事がなんとなく想像できるようになったのは、私の子育ても3人目になったからかもしれない。
 
三女の玄関で発せられた声からは、ただならぬものを感じた。私は、待ちきれず、玄関に飛び出て行った。学校から帰ってきた6歳の小さな身体は肩を震わせ、潤んだ目は今にもダムが決壊しそうな勢いだった。
 
「ママぁ」
 
娘はランドセルを背負ったまま、跪いた私の胸に飛び込んできた。堪えていたものが、どっと溢れ出たように、声をあげて泣いている我が子を、私はギュッと強く抱きしめた。
 
子どもとは割と現金なもので、そんなドラマティックな帰宅から3分もしないというのに、娘はスッと泣き止み、何があったかを話し出した。
 
「きょう、Aちゃんが『Sちゃん(娘)はこないで』ていって、ほかのおともだちと走って帰っていっちゃった。
きのうも同じだった。
きのうは、習いごとでもあるのかな、とおもったけど、
これは、ちがうんだね」
 
何かを悟ったような、そんな表情をしていた。
 
「そっかぁ、それは悲しかったね」
 
「うん」
 
頭が大きく縦に振られて、一旦止まっていた涙がまた、くしゃくしゃの顔を流れていく。
いつの間にか私も一緒に泣いていた。
 
湿った暖かい息を胸に感じながら、私の頭の中には、いろんなことが浮かんでいた。
 
中学生になった時に、いきなり親友の無視が始まったこと。
必死に嫌われまいと生きてきたが、ママ友とうまくいかなかったこと。
どうせ私は嫌われると無意識に思いながら生きていたこと。
長女が「私みんなから無視されている」と言って泣いていた顔。
次女が親友だと思っていた子に、撒かれて帰ってきた日のこと。
 
そう、みんな同じような経験をしているのだ。
 
まさしくこれぞ、女子の洗礼!!
 
 
「今、どう感じてるの?」
 
落ち着きを取り戻した娘に聞いてみた。
 
「Aちゃんに、こんなにかなしいキモチだってわかってほしい」
 
「そうだよね、こんなに悲しいんだもん、わかって欲しいよね」
 
それからぽつぽつと、私は昔話を始めた。私のこと、長女のこと、次女のこと。
そして、心の水のこと。
 
「心の水が減っている時、誰かの水を減らしてでも、奪いたくなる時ってあるよね。
誰かが悪いんじゃなくて、それはただ、その人の水が減っていただけなのかもしれないね」
 
いつの間にか、娘は一人で遊び出していた。
 
大丈夫、理解はあとからついてくる。
 
夕食を作りながら、
次女を撒いて帰った親友のお母さんに、
「もしかして、肝っ玉かぁちゃんですか?」
と言われたことを思い出し、プッと一人で吹き出した。
 
気がつくと、娘が何やら言いたげに立っていた。
 
「やっぱりよかった。だれかにするまえに、こんなにかなしいって、知れてよかった。
あした、『おはよう』っていってみる!」
 
「うん、そう自分で決めたんだね」
 
何かを決意したような、あどけない6歳の顔は、私にはとても輝いて見えていた。
 
 
人は衝撃的な出来事や、繰り返される出来事から、思い込みのメガネをかけてしまうのだと私は思う。
 
あの人は私のことが嫌いなんだ
どうせ私は嫌われる
 
私はそんなメガネをかけていることに気づいていなかった。
 
しかし、果たして本当に嫌われていたのだろうか?
 
もちろん、その時の私には、なかなかそうは考えられなかったが、子ども達のことになると冷静にみている私がいる。
 
「本当に嫌われているのかなぁ?」
 
今までも、子ども達に投げかけてきた言葉。
 
『相手の心の水がただ減っているだけ』
 
そう考えることで、自分にできる行動がみえてくる。
減らされないように、境界線を引く。
もしくは、余裕があれば相手に水を注いでみる。
正直、実際に嫌われていたのだとしても、その行動で相手も悪い気はしない筈だ。
 
嫌い嫌いも好きのうち、とはよく言ったもので、何かしら相手も気になるからこちらの水を減らしたくなるのだ。
 
このような出来事が起こると、『私が何かしたのだろうか?きっと私が何かしたんだ』以前の私はつい自分責めが始まっていた。これは、私の思考のクセだった。自分を責めて、自分で水を減らして、そしてイライラして周り(家族)に優しくできなくなっていた。それならまずは、自分を責めることを辞めればいいのだ!!
 
そう考えるようになったら、人生が恐ろしく楽になった。相手を良い人、悪い人という目で見ることが無くなった。人それぞれ、いろんな時がある。そして、いろんなメガネをかけている。そう思ったら、どんな自分も、どんな相手でも、そのままを受け入れることができようになった。
 
そもそも、私がこんな気持ちになれたのは、守りたいものができたからだと思う。
 
『子どもたちにどんなメガネをかけて生きて欲しいのか?』
 
ある時、そう自分に問いかけるようになっていた。
 
私のように、『どうせ私は嫌われる』のメガネではなく、
 
『私は愛されている』
『私は周りの人に水を注げる』
『私はできる!』
『私は私のままでいい』
 
これから人生いろんなことがある。
私は、愛する娘たちに、そんなメガネをかけて生きていって欲しい。
 
 
 
 
***
 
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2022-05-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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