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『DO NOTHING』のススメ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:スズキヤスヒロ(ライティング・ライブ東京会場)
 
 
大学に入学した頃、LSDにはまっていた。
ドラッグではない。
LSDとはLong Slow Distance、長距離を、ゆっくりと、走ること。歩くぐらいの速さで、かなりゆっくり走る。LSDをしていると、歩いている人に抜かれたりする。
 
大学1年の夏、サンフランシスコ郊外の英語学校に留学した。
はじめての海外、はじめて経験する『時差ぼけ』。朝5時頃には目が覚めてしまう。
朝食は7時からなので、米国に来ても大学の周囲をLSDで1時間ぐらい走っていた。
走り終わって、ベンチで『ぼーっと』していると、朝食に向かう、スペインやイタリアの連中が挨拶してくれる。そして、自然に彼らと仲良くなっていった。
 
「今度の休み、みんなで観光に行かない?」
 
仲良くなった連中とサンフランシスコ市内に遊びに行った。特に予定を立てるわけでもなく、みんなでバスに乗って、『フィッシャーマンズワーフ』という観光地で食事をした。
その後は、『バリバリ観光する組』と『のんびりする組』に自然に分かれて、別々に行動した。
私は、観光はあまり興味がない連中と、カフェに行って、のんびりビールを飲んだ。
『ラテン系』というと、陽気でワイワイ、というイメージかもしれない。確かに、基本的に明るく陽気だが、落ち着いている人たちだっている。そんな連中と、おだやかな午後の時間を過ごした。
 
『なにをするわけでもない。とりたてて、話し込むわけでもない。ただ、ゆったりと、海やカモメを眺めながら、午後のひとときを過ごす』
 
大学を卒業して、社会人になった。
朝から晩まで、必死に仕事をこなす日々。
『のんびりした、午後のひととき』とは、まったく縁遠い生活になっていった。
そのうち、仕事で海外出張することが増えてきた。予算削減のため、いつも一人での海外出張だ。
国際会議での講演などの場合は、必ず、レセプションがある。
レセプションは、ほとんどが立食形式。
私は、パーティーが苦手、なのだが、仕事なので出席しなければならない。
パーティーのホストに挨拶をして、一言二言言葉を交わすと、あとは誰も知らないパーティー会場に居なければいけない。
日本人はほとんどおらず、ほぼ全員が見ず知らずの外国人。
誰にも話しかけられず、誰かに話しかける気にもなれない。
なんか、オドオドしてしまう。
 
今も、昔も、レセプションやパーティーは苦手だ。
 
社会人も、若手、中堅と過ごしてきて、だんだん『古手』になってきた。
若い頃からの仕事仲間は、ほとんどが出世していった。
数年前、ドイツの仕事仲間から、真剣に、忠告された。
 
「おまえは、働きすぎだ。もう若手じゃないんだぞ。そんなことを続けていたら潰れるぞ」
 
と、言われても…… どうしてよいかわからない。
 
「じゃあ、お前は、いつも何をやっているんだ?」
 
「そうだな…… 先週の休日は、公園に自転車で行って、ビールを飲みながら DO NOTHINGをした」
 
「なんだそれ?」
 
「言葉の通りだ。『なにもしない、を、積極的にする』ってことだよ」
 
彼の言葉で、あの『サンフランシスコでの経験』を思い出した。
あの「サンフランシスコでの、気持ちよかった午後のカフェ」。あれがDO NOTHINGだ。
 
DO NOTHINGは『瞑想』ではない。
『瞑想』は、以前から何度も試して、挫折している。
呼吸法やら、足の組み方やら、いろいろな『きまりごと』があって、それが気になってしまって、ぜんぜん『瞑想』にならないのだ。
 
『これでいいのか? 呼吸は15秒数えるのだっけ? 10秒だっけ……』
そんな『決まりごと』ばかりが気になって、まったく落ち着かない。
 
DO NOTHINGは『決まりごと』はない。
ただ、積極的になにもしないこと、を選択する。
 
いつでも、どこでも。呼吸法も足の組み方も、場所も、時間の長さも…… 一切の制約はない。
ただただ、『なにもしない』だけ。
 
「それは、かえって難しい!」
確かにそうかもしれない。
 
そんな場合は、『自然』に目をむけてみるとよい。
森のなかにいかなくても、『自然』は身の回りにある。
たとえば、『コーヒーカップから立ち上る湯気』だって、電車の車窓からみえるお日様の光だって、青空や雲だって、すべて『自然』だ。
その『自然』を、ただ、ぼんやりとながめる。
 
ランチに行ったら『行列』でうんざりしても…… 『自然』はすぐそこにある。
行列に並びながら、青空を見上げれば『自然』、流れる雲、落ちてくる雨や雨音だって『自然』。その『自然』を「ただ、ぼんやりとながめる」、ただそれだけ。
 
数年前から、ドイツの友人との会話がヒントになって、 DO NOTHINGをはじめた。
 
先日に、友人が主催するクラブイベントがあった。
私の、大嫌いな、パーティーイベントだ。でも、友人から招待されているので、無視できない。
キラキラした若者だらけの、うんざりする、深夜のクラブイベントの会場。
主催の一部がフランス政府らしく、なぜかフランス人の若者がたくさんいた。
 
とりあえず、ホストの友人に挨拶して、すぐ帰りたかったけど、彼が『出演』するので、それまでは居ないと仕方ない。
フランス人の若者でごった返す、深夜のクラブで、うんざりしながら彼の出番を待っていた。
 
「そうだ、DO NOTHINGしよう」
イベント会場から、夜の空や渋谷の街が見渡せるので、窓辺にたって、夜の雲や、深夜の渋谷の街の明かりを「ぼんやりと」ながめていた。
 
そうして「DO NOTHING」しながら、時間を潰していると、『静かにイベントに参加している連中』が、結構いる。
いつしか、そんな連中と仲良くなっていた。そんな連中の言葉を聞いてすこし驚いた。
 
「日本人は、コミュニケーションがしずらい人が多い。でも、あなたは珍しくオープンで、コミュニケーションしやすかった」
 
私はただ、窓辺でDO NOTHINGをしていただけだ。自分から積極的に話しかけたわけではない。でも、なんとなく、お互いに言葉を交わすようになって、自然と仲良くなっていった。まるでサンフランシスコの時と同じだ。
サンフランシスコの時も、私はLSDが終わって一息つきながら、自然とDO NOTHINGをしていたのだろう。
 
DO NOTHINGは、『瞑想』、ではないけど、人をリラックスさせてくれる。
 
いつでも、どこでも、簡単にできる DO NOTHING。
生活のなかに、取り入れてみてはいかがだろうか?
ちょっとした時間で、リラックスできて、満ち足りた気持ちになれる。
 
 
 
 
***
 
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2022-05-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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