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もりたいままさん

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:むぅのすけ(ライティング・ライブ大阪会場)
 
 
森のくまさんは、森にいる。
そして、盛りたいママさんは、私の最近のお気に入りのカフェにいる。
 
時刻は平日の午後1時過ぎ、ランチタイムが少し落ち着いた頃のこと。
私は目的地までの道を早足で歩いていく……
 
 
その場所とは、大阪市の東隣に位置する東大阪市にある、一軒のカフェである。
住宅街の中にあって、長年にわたって地域に溶け込み愛されてきたのが見て取れる……
そんな家庭的な雰囲気のこじんまりとした小さなお店に、ただお昼ごはんを食べに行くだけのことなのだ。
 
 
そこには、『森のくまさん』ならぬ、『盛りたいママさん』がいる。
 
優しい『森のくまさん』は、お嬢さんに怖がられながらも、拾ったイヤリングを親切に届けようと追いかけていく。
 
そして優しい『盛りたいママさん』は、お客さんに沢山食べさせてあげようと、ご飯を多めに盛ってくれるのだ。
減らしてくださいとお願いしても、思ったようには減らしてくれないのだ。
どうやら、全てはお値段以上のサービスを心掛けてくれる、親切心からくるもののようだ。
 
 
バンダナの三角巾に、エプロン姿が森のキッチンを思わせる。
そんなママさんお手製の日替わりランチは、優しい味のおかずがたくさんあって、なかなかのボリュームだ。
初めて入った日に、大喜びで全てを完食した私は、食べ過ぎた苦しみにあとで後悔することになった。
だったら残せばいいようなものだが、残さず食べることは今や我が家の家訓のように、私の習慣としてしみついてしまっている。
 
 
私は悩んだ。
 
自分には量が多くてツラいけど、やっぱりまた食べたい。
行けばまた食べ過ぎることは目に見えているのはどうしたものか……
 
月に何度か、資格試験の勉強のためにその地域に通う必要ができた私は、あのカフェの幕の内弁当のような仕切りの沢山ついているケースに、決まった形に盛られているおかず達に、また会いたくなってしまうのだ。
 
ええいままよ
と、食べ過ぎ覚悟で二度目に入った瞬間に、私はいいことを思いついた。
ママさんに、ご飯を減らしてもらえるように頼んだらいいじゃないか。
 
なんだ、こんな簡単なことですむなんて。
そして注文を取りにきてくれた男性スタッフさんに
『すみませんが、前回とても美味しかったのですけどご飯が多くて苦しくなってしまったので……減らしていただけませんか?』
と、丁寧に頼んでみた。
 
すると店内が全て見渡せるオープンキッチンでその報告を受けたママさんは、即座に悲しそうな顔をした。
そして私を見ながらこう言った。
『ありがとうございます……よろしいんですか?』
 
お礼を言われることは、一応理解できるのだが、そもそもこちらが頼んでいるのだからそんなに恐縮されるとむしろ困ってしまう。
 
だから私は努めて明るく、重ねてお願いすることにした。
『ご飯を残すのが嫌なので……ワガママを言ってすみません』
 
そうして待つこと数分、やって来たランチのご飯はほとんど減っていなかった。
そこへ追い打ちをかけるような一言に、私は更にショックを受けることになる。
『減らしてしまったんですけど……足りなかったら、おかわり入れますから、言ってくださいね』
 
……そうか
上手く伝わらなかったか。
軽くめまいを覚えながらも、ママさんに笑顔で会釈をしてから、私はその結論に至った。
 
正直言って
減らしてって言ったのに! と一瞬カチンときたことは否めないのだが、すぐに思い直した。
あの時のママさんの悲しそうな顔を思い出したからだ。
 
そして私なりに想像してみた。
きっと優しいママさんは、子どもに沢山食べさせてあげたいお母さんのように、お客さんに食べてもらおうとしてるんだろうな。とか
お客の意向とはいえ、減らして提供するなんて、つらいことだったんだろうな。とか
 
結局その日も、前回と同じように完食し、しっかり食べ過ぎの後悔をすることになった。
でもそれは前回同様に、いい雰囲気の中で美味しく食べた結果なのだから仕方ない。
 
 
苦しいおなかを抱えながらの帰り道、次はどう言えば望み通りの量にしてもらえるか考えた。
そしてその最中にふと思った。
別に無理して日替わりランチにしなくても、他のメニューもある。
もっと言ってしまえば、無理にその店へ行かなくてもよいのだ。
なのに、なぜ私はまた行こうとするのだろう。
 
考えてみてわかったことは、
あの手作り感あふれるおかずの数々に魅了されている、ということだった。
 
 
主婦の私は、誰かが作ってくれた食事に強い憧れのようなものがある。
 
外食するのとは違う、どこかの誰かが作ってくれる、我が家ではない家庭で食べられるようなシチュエーションに憧れるのだ。
例えば、外食と言えば……と思い浮かべてみる。
素人には難しく、さすがはプロのシェフ!と感じる料理であったり、はたまたチェーン店の、おおよその決まった味であったりで、それぞれに美味しく、必要に応じて値打のあるものだと思う。
お金を払うのだから、と当たり前のようにしているが、まずもって自分が作らずとも食べられることは、そのことに既に十分すぎる価値があるのだ。
 
あのお店は、それを十分に満たしてくれる。
 
素朴で優しい味と、家庭的な雰囲気、そしてママさんとのちょっとしたおしゃべりを楽しみにいらしてる常連さんも多くいそうだ。
私はもっぱら聞き耳を立てて、そんな会話を楽しませてもらっている。
 
結局、私はここが大好きなのだ。
理屈ではない。
もはや常連さんと同じく、お店丸ごとファンなのだ。
 
そう理解したら、減らしてもらうためにどう伝えようか、なんて構える必要はなくなった。
あのランチを食べる日は、一日の他の食事でバランスをとればいいのだ。
慣れれば簡単なことだった。
 
そうして最近の私は、バンダナの似合う森のくまさんならぬ、盛りたいママさんのカフェに行くのを楽しみに、勉強を続けている。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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