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いつかはショパン~意外と弾ける、大人のピアノ挑戦記


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:吉川和美(ライティング・ライブ大阪会場)
 
 
子供時代、特に、1970年台から1980年台に小学生だった世代の方々であれば、色々な習い事をした人も多かったのではないかと思う。私の場合は、幼稚園時代にはエレクトーン、小学校に入ってからはピアノを習わせてもらった。
 
当時、自宅にはヤマハの木製ピアノがあった。
 
ごく普通のサラリーマンの父親に専業主婦の母親、私と妹、女の子2人の家族で、数十万円はくだらないであろうピアノを買うには、相当の決心が必要だったに違いないと今となっては思う。まだ景気もそこまで悪くなかった、よい時代だったのかもしれない。
私自身は、買ってほしい、とねだった記憶は、まったくないのだが、
おそらく、
 
なんとかちゃんのお家にも、なんとか君のお家にもピアノがあるの!
私もほしい! 絶対練習するから!
 
等といって父母におねだりをしたのではないかと思う。
いい教育を受けさせてあげよう、と、当時父母が考えたかどうかは不明だが、さすがに買ってもらった当初は多少なりとも練習はしたのではないか。
 
案の定、小学校高学年にもなればピアノ以外の習い事が忙しくなり、もちろん遊びにも忙しく、私たちのピアノの優先度はすっかり下がってしまっていた。
それでも、もう少し習わせたら多少はモノになると思ったのだろうか。そんな状態でもピアノの先生は毎月自宅に来てくださっていた。
しかし、ろくに練習もしなかったので、なぜ練習してこないのか、と、若い先生を毎回困らせるだけの日々が続き、結局中学生になるタイミングでやめてしまった。
 
その後ピアノは大きな棚と化した。姉妹二人、嫁に行くときにも実家に置いて行かれ、大きなオブジェとなったあと、あるとき帰省してみたらいつの間にか処分されていた。
 
中学生時代は部活に、高校生は勉強に、社会人になったら仕事で、嫁に行って、と、以後40年近くピアノにふれることもなく過ごしていた。たまに鍵盤を見る機会があっても一切弾きたいとも思わなかった。すっかり忘れてしまっていて、実際、弾けなかった。
 
ところがある日、近所のイオンモールで買い物をしていた時だった。聞いたことのある軽やかなピアノの旋律が聞こえてきた。ショパンの幻想即興曲だった。クラシック音楽はなぜか好きだったので、たまたま耳にはいったのだろう。島村楽器という、楽器店の前だった。
 
ふらふらと入ってみると、「大人のピアノ」レッスンの入学キャンペーンがあるという。今入会すれば、入学金が割安なのだそうだ。
新型コロナウィルスの流行で行くところもないし、何か室内でできる趣味をやってみたいと思っていたところだった。お茶も生け花も、何回か習ってみたが続かず、何もかも中途半端だった。
まあ、今回もすぐやめるかもしれないな、と思いつつ、お試しで入会してみることにした。
いつか、もう一度、ピアノを弾けるようになったらいいな、という気持ちが、心のどこかにあったのだと思う。
 
「大人」の初心者には、皆さんとても親切だ。
弾いてみたい曲はありますか? はい、いきなりショパンは無理だと思いますが、「卒業写真」や「赤いスイトピー」を弾いてみたいです。
 
ところが。
40年ぶりに楽譜を見ると、まず、音符が小さすぎる。
まだ老眼ではないはずだが、無理。こんなに小さな文字は読めない。
仕方がないので、「大きな文字」の楽譜にしてもらった。「大人」向けに、大きな文字の楽譜を売ってくれている。ありがたい。
 
次に。
かつて習ったはずの、フォルテ、だとか、フェルマータ、だとか、繰り返し、だとかの記号の意味をすっかり忘れ去っていた。先生が丁寧に楽譜に意味を書いてくれる。記憶を呼び戻す。頭が沸騰しそうだ。
 
さらに。
リズム感がない。2分、4分、8分、16分音符、1拍の中で三つ鳴らす三連符・・・無理。先生が根気よく、横でリズムをとってくれる。
 
もちろん、右手と左手が同時に動くはずがない。
でも大丈夫。「大人」の楽譜は、左手の旋律が極端に簡単にアレンジされていて、なんとなく両手で引けた満足感が味わえるように設計されている。
 
島村楽器のピアノの先生、佐竹先生はとてもとても忍耐強かった。
もともと「大人のピアノ」の先生は、幼稚園児のピアノの先生も受け持っておられる。幼稚園児のほうがよほど練習熱心で上手だったりするのだが、そこは大人のプライドを損ねないように上手に褒めてくださる。
仕事にプライベートに忙しい「大人」がレッスンをドタキャンしても、いつもにこやかに微笑んでおられる。
 
そんなこんなで数か月経って、最初は「きらきら星」から始め、今はなんとベートーベンの「エリーゼのために」を練習している。この調子だとショパンが弾ける日も近い、かもしれない。
たどたどしくはあるが、知っている旋律を、楽譜を見つつ自分自身で紡ぎだすのはとても楽しい。
 
いい時代になった。
 
ピアノを習おうと思い立ったら、安いものだと2-3万円で電子ピアノを買うことができる。インターネットで注文すれば数日で届く。
習いに行かなくても、弾き方がわからなければ、YouTubeで丁寧に教えてくれるチャンネルがいくらでもある。なんと無料だ。
大人向けに、大きな文字で、弾きやすくアレンジされた楽譜が多数出版されている。
 
今の私の夢は、ショパンを弾けるようになることと、子供のころには高すぎて買えなかった、漆黒のグランドピアノを買って自宅で弾くことだ。
島村楽器で弾くピアノは、自宅の安物の電子ピアノとは違って、抜群に音がよい。もちろん、しっかり稼がないと、とても思い切って買えるような価格ではない。
なんだかいろいろ作戦にのせられている気がしないでもないが、いつかこれを弾きたいな、買いたいな、と、思いながら生きていけるのも、「大人」の楽しみではないかと思っている。
みなさんも、「大人のピアノ」、やってみませんか?
 
 
 
 
***

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2022-06-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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