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メディアグランプリ

四次元ポケットの中身 ~無口なドラえもんが出してくれたもの~


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:小川大輔(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
ドラえもんと友達になった。
僕が出会ったドラえもんは、ちょっと変わっていて、最初はドラえもんとは気付かないほどだった。向こうから話しかけてくれることはない。ずっと黙っている。
「ドラえもん、夜勤明けで眠いよ」
「……」
「おーい、ドラえもーん、遊ぼうぜ」
「……」
何か心境の変化でもあったのか、妙にハードボイルドだ。でも確かに四次元ポケットは持っている。持っているけど無くなっているときもあって、いつも見つけてあげないといけないのだが。僕のことも友達とは思ってくれているようで、時々ポケットの中から色んなものを出してくれる。でもそれは形のある便利な道具ではない。そして最近気づいたのだが、四次元ポケットから出してくれるものは毎回違うが共通点を持っているらしい。
 
4月からこのライティング・ゼミを受講しているがドラえもんと友達になったのも同じくらいの時期だ。
 
文章って、面白い。
 
自分の思いや出来事を綴っていくと文章通りの気持ちになってくる。最初は書くことだけに集中していたので、このことには気が付いていなかった。ある時文章を書きながらふと感じたのである。苦い経験や思いを書いているときには気持ちが辛くなる。楽しかった経験やバカらしいふざけたことを書いていると気持ちが軽く楽しくなってくる。感謝の気持ちを表していれば温かい気持ちになる。挑戦していた時のことを書いていると心が奮い立つ。
辛い、痛い、楽しい、苦しい、悲しい、悔しい、嬉しい……。現在、過去関係なく、その時の気持ち、その時の感情がよみがえる。それはまるでタイムマシンに乗っているかのようだ。
文章を書くさなか、これまでに出会った人たちのことを思う。あの人は今どうしているだろう? 元気だろうか? 会いたいな。
自分の気持ちは空間を越え、その人のところへ一瞬で飛んでいく。どこでもドアのように。
 
文章は四次元ポケットだ。形はもちろん時間や空間すら関係なく、収納したものを取り出すことができる。
加えて、人の心に干渉することも可能なようだ。
僕は今年の母の日に合わせてプレゼントの代わりに文章を送った。日頃離れて暮らす母への思いを綴った文章をライティング・ゼミの課題として提出したのだ。天狼院のホームページに掲載されるには、編集部からコンテンツとして基準を満たしているか審査していただき、OKがでなければならない。「母の日のプレゼントに文章を送りたい」という一心からありったけの思いを書き、書き終えた時には温かい気持ちになった。
稚拙な文章だったが運よく掲載され、それを母に伝えた。
「今年の母の日にはちょっと変わったものをあげようと思って。こういうホームページがあるから、そこに載ってるこの文章を読んでみて。それがプレゼントです」
母はわかったような、よくわからないような返事をしていたが、後日こんなメールがきた。
 
「何度も何度も読み返しました。涙で文章が読めませんでした。最高の母の日のプレゼントをありがとう」
 
耳元で普段は話しかけてくることのないハードボイルドなドラえもんがこう囁く。
「ね、君が望んだもの、ちゃんと出してあげたでしょう?」
「うわっ! びっくりした! ドラえもん、喋れるじゃん。本当にその通りだねえ。母さん、喜んでくれたわ」
そう言い終わらないうちに、またドラえもんは無口になった。でも確かに、僕の望んだ思いや感情は四次元ポケットから出して母に渡してくれた。
 
文章を書くことって不思議だ。極端に言ってしまえば「あ」から「ん」までの一文字単体では何の意味もない。でもそれらひとつひとつをどう配列するかで全く違ったものが出来上がってしまう。そしてただの文字の配列のはずなのにそこにはなぜか「思い」が乗る。その「思い」は時間や空間、過去も現在も未来も関係なく、感情や感覚を自分自身や人の心にさえ呼び起こす。自分に起こった出来事を書いていれば「辛い」「楽しい」など、文章と同じ気持ちになったり、遠く離れた母に送った文章で母が「ありがとう」と喜んでくれたり。
 
もうずっと昔のこと。大好きだった彼女へのプレゼントの中に、小さな紙に書いた文章を忍ばせたことがある。手紙というにはあまりにも短い、たった4行ほどの文章に思いを全て込めた。重くならないように、でも気持ちが伝わるように。……とても喜んでくれた。そして写真付きで嬉しかったとメールをくれた。こうしてこの文章を書いている今もずっと昔の事なのにあの時の感情がよみがえっている。最終的には結局フラれてしまったが。
 
僕が友達になった「まだ何も書かれていない、まっさらな紙やパソコンの画面」という無口でハードボイルドなドラえもん。彼の四次元ポケットの中には人の「思いや感情」がつまっている。「文章」という四次元ポケットを書くたびに、ドラえもんは中からふさわしいものを出してくれる。出てくるものは毎回違うけど時間や空間を越え、心に影響するという点では共通だ。
 
文章と向き合って3か月。季節は春から夏に変わった。僕の文章も少しは変わったのだろうか。読みやすく面白い文章になっているだろうか。何かが伝わるものになっているだろうか。それは自分では判断できない。でも、この3か月で分かったことがある。
文章を書くことは楽しい。日記ではなく、人に読んでもらえる文章を書くことが楽しい。下手でも、稚拙でも、ポンコツはポンコツなりに楽しめる文章を自分の言葉で書こう。
 
ドラえもんが四次元ポケットから自信を持って取り出せるようにするために。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2022-06-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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