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その昔、私は森に救われた

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記事:成田陸(ライティング・ゼミNEO)
 
 
昔、遊んでいた裏山の森が開発によってなくなっている。友達と秘密基地のように使っていた場所も、今は重機が入って無惨な姿になって、あの場所はもう私の記憶にしかないと思うと寂しい。だからといって、頻繁に裏の森に入っていたかというとそうでもない。ただ、いつも決まって気分が落ち込んだときに、森に入っていた。
 
私は森に人生を救われた。今でこそ、人と話せるようになったが、昔はまったくといっていいほど、人と喋れなかった。というよりも、人を信じていなかったし、誰もが敵だと思っていた。それはとても簡単な理由で、些細な行き違いがきっかけで、センパイと喧嘩して、それから全校生徒といっても過言ではないくらいの人間からいじめを受けていた。それは、なんともいえぬ無力感を味わっている。高くて硬い壁で、何か引っ掛けられる場所があれば、改善する方法もあるんだが、どうもそのとっかかりすら感じられなかった。暖簾を押しているような感覚でもある。あるいは、分厚いねずみ色の雲のようにも感じている。
 
人の集合体なんというのは、掴みどころがなくて、個人個人に対応しても後ろから刺されるのが常だったりする。よくマンガやドラマでは、ピンチの主人公の背中には頼れる仲間がいて、守ってくれたりするシーンがあったりするが、現実は残酷で、私の世界線にはそういった存在はほとんどあらわれなかった。いっとき、あらわれたとしても、いつの間にか猫をかぶるのをやめて、豹変してともいう。いきなり真横から殴られるような、そんなこともあった。だから、私は人を信じられなくなったし、特に、集団生活が苦手になったりした。マジでいったん、みんな群れるのをやめてほしい。そうすれば、生きやすくなる人も増えるんじゃないかと真剣に考えたことすらある。
 
だけども、そういったことは起こらなかったし、私は、私自身の手で環境を変えないといけなかったのだが、そううまくいくわけもない。だから、居場所を外に求めた。それが森だったのだ。両親が地方の出身で、幼少の頃から登山やキャンプをしていたから、自然というもの、とりわけ森に行くことが多かった。
 
森は否定も肯定もしないけども、否定も肯定もする存在だと思っている。何をいっているんだ。どっちかやろ思うだろうが、私にとっての森は、受け入れてくれた存在でもあるし、拒絶した存在でもあるんだ。
 
森は生きている。比喩でもなんでもなく、森は植物や動物、昆虫の棲家の集合体なのだから、生きているのだ。だから、森は変化する。生きているのだから、1秒1秒と秒針が進むたびに形を変えていっている。社会と同じように変化し続けている。だから私が初めて1人で森に入ったときは、運が良かったのか悪かったのかはわからないのだが、拒絶されたときだった。
学校帰りに、裏の森に入った。当時、私がいじめを受けていたのは両親は知っていた。また、心配をかけるのが嫌で、何かの声をかけてもらうのが嫌で嫌で仕方がなくて、独りになりたくて夕方の森に入っていった。「夕焼け小焼け」がなりはじめ、帰らないといけない時間だった。だけど、私は帰らなかった。いや帰れなかった。一気に暗くなり、道がわからないから、1人うずくまっていた。カラスの声がなり、幽霊が出るんじゃないかと思うほどの暗さが広がっていく。今でもどうやって帰ったのかが思い出せないのが、距離としては3分も歩けば家に着くから、多分無我夢中で怖くて、家に帰ったんだろう。もちろん、両親からは心配をかけてしこたま怒られたのを覚えている。
 
それからしばらくして、夏休みかゴールデンウィークか冬休み、つまりは長期休みのときに裏の森に頻繁に入るようになった気がする。時間帯としては朝か昼間、あの怖かった経験はしたくなかったからだろう。晴れた日はいろんなものがよくみれる。地を歩いているアリも、地面から出てきているミミズも、野鳥も多くいるのを知った。そうそうカブトムシもいた。だから、夏休みに入っていたのだろう。森というのはいろんな生き物がいるんだなぁと、そのとき知った。1つ1つ個別に見ていき、しっかり存在を認識できるようになったんだろう。両親に話すのが「森にいってきたよ」から、「どんぐりの木でカブトムシやクワガタを見てきた」と変わっていったらしい。
 
休み明け、クラスに行ってもあいも変わらずにいじめられはしたが、全校生徒みんなからいじめを受けているという思い込みは無くなって楽になった気がする。学校も森とおんなじで、変化し続けるだろうし、何よりもみんなはなくて、アイツとコイツが敵とわかればまだ対応のしがいがあるからだ。森は私の世界を変えてくれたから、人生を救ったのだ。今はない森、ありがとう。
 
 
 
 
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2022-07-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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