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メディアグランプリ

保護ネコ奮闘記


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:新井春美(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
「またベッドにおしっこされちゃった」 と言いながら、A子さんは困ったようなうれしいような顔をしている。犯人はネコのモモさん。モモさんは5か月前にA子さんの家にやってきた。それまでは野良ネコだった。
 
A子さんと、のちにモモさんとなる野良ネコが初めてであったのは、A子さんの職場の近くの商店街だった。ある日、A子さんはここで多くの野良ネコがうろうろしていることに気が付いた。飲食店の従業員が余った食べ物をやり、通行人も思い思いにエサをやっていた。空になったネコ缶が散らかっていることもあった。ネコがかわいいから、ニャーニャー鳴いてかわいそうだから、という理由で人間の勝手でエサをやるのはネコにとってよくないこともある。
このネコたち、これからどうするのだろうとA子さんは思った。このまま野良ネコとして生きていけるのか、人間の勝手なエサやりで体を壊してしまうかもしれない。保健所につかまってしまえば殺処分になってしまうかもしれない。そんなことを考えるようになった。
 
殺処分を避けなければ、と思ったA子さんは、動物の保護活動をしているNGOに電話をしてみた。あのネコたちを保護してくれると期待していたのに、電話の向こうから聞こえてきたのは思いもかけない言葉だった。最近、保護ネコや保護犬の数が増えていて手が回らない、と断られてしまったのだ。
 
数日、A子さんは考えたのち覚悟を決めた。こうなったら私がやるしかない。自らネコを保護しようと行動を開始したのである。
まず、相手を知らなければ始まらない。このため商店街を歩き回り、野良ネコたちの居場所を確かめることにした。するとエサを求めて歩き回っているとき以外は、金融機関の駐車場にいるらしいことがわかった。ただ駐車場のどこに身を隠しているのかわからない。A子さんは金融機関に直談判にいくことにした。
昼休みになると同時に職場を飛び出し、金融機関の窓口に向かった。最初はポカンとしていた窓口担当者も、A子さんの勢いに押されたのか責任者に取り次いでくれた。
ラッキーなことに、責任者は動物好きだったので話はスムースに進んだ。金融機関としても駐車場にネコがいると、フンや鳴き声の問題が出てくる。どうにかしたいと思っていたらしい。これを聞いたA子さんは、できれば金融機関が中心となって町ネコのようにしてやれないか、とまで提案してしまったという。
 
約束の1週間後、A子さんは再び金融機関に向かった。しかし、責任者は町ネコの提案を本社に掛け合ってくれたらしいが、本社の返事はノーだった。野良ネコは、店舗で「適宜、対処するように」 ということだった。A子さんはまたダメだったかとがっくりした。それでも責任者が駐車場のカギを開け、野良ネコたちの所在確認を手伝ってくれた。
 
野良ネコの居場所がわかってからが、また長かった。ネコを捕獲しなければ保護できないのだ。A子さんは仕事が終わってからまた大仕事に取り掛かることになった。駐車場の前でネコが出てくるのを忍耐強く待った。時には高級なエサをちらつかせ、時には姿を隠し、何日も待った。やがて、商店街の人が協力してくれるようになった。一緒にネコを待ち伏せしたり、目撃情報をくれるようになった。協力してくれる人がいることはA子さんの支えになった。
 
2、3週間くらい過ぎたころ、1匹の子ネコがフラっとA子さんの足元によってきた。これまでもこうしたことはあったが、いざ手を伸ばして捕まえようとするとスルっと逃げられていた。しかしこの時はなぜかおとなしく手の中に収まったという。A子さんは小さなネコの体温をじんわりと手に感じながら帰宅した。
 
翌日、暴れるネコをどうにかこうにかバスケットに入れ、汗だくになりながら動物病院に連れて行き、検査を受け必要な注射を打ってもらった。医師からはねぎらいの言葉をもらった。A子さんはやっと一息つけたと思った。そしてこの日、野良ネコはモモさんという名前をもらった。
こうしたA子さんの奮闘を見た家族が、モモさんの世話をしてくれるようになった。また、A子さんの友人もSNSにこの顛末を紹介してくれるようになった。ネコを飼っているという人と写真や情報を交換するようになり、仲間が増えて心強いそうだ。モモさんのファンも増加中なのがうれしいという。
 
「殺処分されるネコの数ってなかなか減らないんです」 とA子さん。「たった1匹しか保護できなかったし、保護してもすぐに懐いてくれるわけではないんです」 それでも行動を起こしてよかったと思っている。がんばれば協力してくれる人が出てくるし、誰かが同じように行動を起こしてくれれば、少しずつでもネコが助かる、とA子さんは信じているそうだ。
 
 
 
 
***
 
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2022-08-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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