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3歳の息子から学ぶ「必要は言語習得の母」


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記事:林ゆり(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
私は幼稚園児くらいの頃、アメリカのサンフランシスコを舞台にしたファミリーコメディドラマ、フルハウスを観るのが大好きだった。
NHKで放送されており、日本語吹き替え版だったのだが、三姉妹の末っ子ミシェルが一番好きな登場人物だった。彼女のブロンドヘアーも大きな瞳もませた仕草も、そしてなにより喋り方がとても可愛く魅力的で、私は幼いながらもミシェルと友達になりたいと目を輝かせながらみていた記憶がある。
 
当時の私は吹き替えというものを知らず、自分たちと少しルックスは違うけど、当然彼らも日本語で会話をしていると信じ込み、まさかオリジナルは違う言語で話しているなんて発想は1ミリも頭に浮かばなかった。
日常において外国人の知り合いがいる訳でも、外国人と街で出くわす訳でもなかったので、人は皆日本語を喋るものだと思っていた。日本で生活する分には日本語が話せれば事足りており、世の中には様々な言語があると理解するのはもっと先のことだったし、日本語以外の言語に興味を持ち、話せるようになったのはもっともっと先のことだった。
 
しかし、私の3歳の息子は違う。
 
息子は1歳半で渡米した。
私たちが住んでいるエリアは、会社から派遣された駐在員で数年赴任している日本人や、コリアンタウンにいる韓国人など、アジア人も多く住んでいる。そのためコロナ禍で問題になったアジアンヘイトを感じたこともなく、幸いなことにマイノリティーとして肩身の狭い思いをすることなく過ごせている。
 
アメリカは人種のるつぼと言われている通り、息子は色んな国籍の人に囲まれて生活をしている。物心つき始める前の日本語すらまだ上手に話せない時から、日常的に老若男女問わず好意的な英語で話しかけてもらう機会がたくさんあった。
 
いつもアパートを掃除してくれているヒスパニック系のおじさんと挨拶がてらハイタッチをしたり、道を歩いているだけで「可愛いね」と通りすがりに声を掛けてもらったり、スーパーのレジで「その帽子かっこいいね」と褒めてもらったり。アメリカ人は子ども好きな人が多く、息子と一緒に出掛けるだけで一日に何度も知らない人に声をかけられ、人気者になった気分にさえなってしまう。
 
まだ1歳で、先入観や固定概念、偏見といった類のものが無いまっさらな心を持っていたことに加えて、息子に話しかけてくれる人は基本的にポジティブなことを言ってくれるので、強面で屈強な体格で、大人の私でも一瞬大丈夫かなと身構えてしまうようなアメリカ人のおじさんから英語で話しかけられたとしても息子は全く物怖じしなかった。私は強面のおじさんが息子にニッコリしてくれているのをみて、見た目で判断してごめんなさいと心の中で謝ったことが何回もある。
 
また英語だけではなく、偶然にも同じアパートに住む日本人のお友達がたくさんいたので、親以外から日本語で話しかけてもらえる機会も同様に持つことができた。
 
2歳になり日本語で会話ができるようになってくると、彼の中で日本語を喋る人、英語を喋る人の区別がついてきた。日本人と思われるお友達には「こんにちは」と言って、それ以外の人たちには “Hi” と挨拶を自分で使い分けるようになった。通りすがりの知らない人でも、息子が “Hi” と挨拶すると大抵優しく挨拶を返してくれるので、息子はそれが嬉しくて、挨拶をするのが好きになった。
 
また、息子には韓国人のお友達で、同い年のA君がいる。A君と遊ぶ時は親同士は英語、それぞれの親子間では日本語と韓国語で会話をしているので、息子はいつもA君と遊びながら自然とA君親子が話す韓国語を聞き流している。
ある時公園で息子と2人で遊んでいると、アジア系の親子がやってきた。息子は親子の会話が聞こえてきて、日本語でも英語でもないと判断すると、「A君とA君のママみたいだね」と言った。彼らは韓国人の親子だったのだ。息子は2歳にして日本語、英語、韓国語の3ヶ国語の違いを理解していたのだと分かった。
 
3歳になった今は、誰にでも元気に挨拶できる社交性が身についただけでなく、特に積極的に教えていなくても、英語の子ども向けYouTubeやいつも親が話している英語に興味を持ち、簡単な会話、色や数字、食べ物の名前などが英語で言えるようになってきた。
 
言語の習得はセンスがあるかどうか、と聞いたことがある。だが息子をみているとセンス以上に環境が重要だと感じる。
日本でフルハウスを見ていた3歳の私と、アメリカで生活する3歳の息子を比べると、全く別物の常識がそれぞれの環境によって形成されていたことがわかる。
周りに日本人しかおらず、日本語の世界で全てが完結している環境において、外国語に興味が湧かなかったのも、様々な人種の人たちが英語を共通言語とする環境において、1歳から2歳、2歳から3歳と世界が広がるにつれ英語を話したい、理解したい気持ちが芽生えたのも、どちらも自然の流れだ。
 
環境による常識の違いは大人になっても存在する。
クリスマスと聞いて、雪の中トナカイに乗ってやってくるサンタクロースを思い浮かべる人もいれば、真夏の日差しを浴びながらサーフィンでやってくるサンタクロースを思い浮かべる人もいる。
日本では家に入る時に玄関で靴を脱ぐのは当たり前のことだが、欧米では室内でも靴のまま過ごすことが当たり前だ。
 
どちらが正しいということはない。ただ環境が思考にもたらす影響はとても大きい。
 
自分の子供の頃と全く異なる環境で幼少期を過ごす息子の成長は興味深くもあり羨ましくもある。
息子はこれからもアメリカでの生活が続く限り、英語習得の必要性を肌で感じ、ますます英語力をつけていくに違いない。
そして言語だけでなく人種や国籍など様々な多様性を受け入れ、時には自分とは異なる価値観に触れながら、日本人としてのアイデンティティを忘れず、オープンマインドで柔軟な心を持ち続けて欲しいと願っている。
 
 
 
 
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2022-11-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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