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カンボジアで入院した病院がもはやホテルだった話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:菅原裕恵(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
年に数度、数週間ほどカンボジアに出張に行く。
普段はパソコンの中でしか会えない同僚たちと顔を合わせて仕事を進められる貴重な機会だ。
目的地のシェムリアップという街は世界遺産のアンコールワットがあり、コロナ前は日夜多くの外国人が訪れた観光都市でカフェやレストランが数多く立ち並ぶ。独身時代にしばらく暮らしていたこともある街で、知り合いも多く馴染み深い。
出張のときはいつも半ば旅行のような気持ちで飛行機に飛び乗る。
そんな第二のホームのようなカンボジアに、3歳になった息子を連れて行ってみようと思い立ったのは、完全にただの好奇心からであった。
 
 
わたしが働いている間、息子は保育園に通うことにした。
イギリス系の園で、先生はカンボジア人が多いが基本は英語で会話している。もちろん息子は英語を話せないし、なんなら日本語も覚えたてだ。
彼の短い人生のうち、言語を介さずにコミュニケーションをしていた時間の方が長いから大丈夫だろうという謎の自信で入園を決めたが、初日は大いに泣かれた。
「保育園はどうだった?楽しかった?」という問いには頑なに「たのしくなかった」と答えていたものの、7日目には「たのしかった!」と笑顔で帰ってきて、半ば罪悪感を抱えていた母の感動を誘った。
言葉が通じなかろうと、大好きなプラレールがなかろうと、その場所ごとの楽しみを見つけられる子供の柔軟性はすごい。
 
そんな頼もしい彼も慣れない環境に疲れが出たのか、その後体調を崩し、寝込んだ。
日本では風邪ひとつひかない息子もカンボジアのあらゆる菌やウィルスの洗礼を受け、疲れもあってかなかなか回復しなかった。
 
評判が悪いのでできるだけ病院には行きたくなかったが、さすがにちいさな子供のことは心配だ。症状は明らかに違ったが、時節柄コロナではないという確信も欲しかったので、意を決してトゥクトゥクに乗り込み、市内でも数少ない外国人対応の病院に行くことにした。
 
 
ここでは海外保険を持っている患者は入院を勧められがちである。
なぜなら請求内容が高額になるから。
外国人相手のぼったくり病院、診療内容のわりにものすごく高い。
それが悪評の原因のひとつだ。
息子は幸いにもただの風邪のようだったが、案の定「Stay 1 Night(一泊して行きなさい)」とタイ人のおじいちゃん先生に言い渡された。
 
「えっすごい!? 」
点滴を受けながらすやすや眠る息子と一緒に案内された病室は、びっくりするほど広かった。
もはや東京の自宅のリビングよりも広いのではないだろうか。
緑に面した天井まである大きな窓、寝転がれるソファ。冷蔵庫にシャワールーム。シャンプーなんかのアメニティもある。Wifiは完備。患者には晩御飯は何にしましょうか、とメニューまで持ってきてくれる。
同伴者は1階にあるカフェに内線をかければ、コーヒーや軽食をデリバリーしてくれる。
素敵な調度とまではいかないが、療養して過ごすには十分すぎるほどの待遇だ。
現地で借りていたアパートのリビングにはエアコンがなかったので、まるでホテルに泊まりに来たかのようだ。
 
数時間に一回、看護師が巡回にきて体調を確認していくので、ここが病院だと思い出せる。カンボジアの人たちはきょうだいに囲まれて育った人が多いからか、ちいさな子供の相手がすごく上手だ。
カタコトの日本語で話しかけてくれる人もいて、すっかり気を許した息子は毎回手を振って見送っていた。
 
予定外の入院には戸惑ったが、居心地もいいし、息子もぐんぐん回復して安心だ。先生の英語は何を言っているのかいまいちわからないが、日本語通訳のサポートも保険適用でお願いできる。こんなに安心できるなら早く来ればよかったのだと心底思った。
 
それに同僚や知人のサポートもありがたかった。
慣れている街とはいえ、異国で子供が病気になるのは本当に心配で、心細い。
そんな中でも「えらいこっちゃ」と笑い飛ばしていられたのは間違いなく彼らのおかげである。
 
入院が決まった後、宿泊に必要なものをアパートから持ってきてくれた人。
心配だろうけど大丈夫だよ、と差し入れにクッキーを添えてくれた人。
「あのおじいちゃん先生何言ってるかわからないっすね」と一緒に笑ってくれた人。
「あそこの病院の退院手続きはすごく長いから前のめりに急かしていけ」とやたら具体的なアドバイスをくれた人(その通り、ものすごーく待たされた)。
 
色々とサービスが充実している日本なら、あれこれと自分一人で手配して何とかしていたと思うが、足りないカンボジアでは周囲に頼らざるを得ない。そのおかげで物理的にも精神的にも随分楽にしてもらったと思う。
 
ああ、人の温かさに感謝して生きよう、いい経験になった…としみじみ退院のお会計を待つ私のところに届く分厚い封筒。
中には診療明細と、$1600の文字…一泊21万円!?
すごい。なんて高級ホテルだ。市内の五つ星ホテルでもこんな値段はしないぞ…! と震える手で保険証を差し出した。
本当に保険に入っていてよかった。
 
ちなみにこの翌週、再びここに戻ってくることになる。
今度は食あたりで、1泊。こんなに保険のありがたさを噛み締めることはそうそうない。
皆さん、子供連れで海外に滞在する時は保険への加入をお忘れなく。
 
 
 
 
***
 
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2022-11-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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