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「悲劇がマジックボックスの鍵!」

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:村田さと美(ライティング・ライブ大阪会場)
 
 
「どんな時も子供を信頼することが大切だと改めて気づきました。」
今から15年ほど前になるだろうか。とある子育てワークショップの感想シェアで、私の隣に座っていたひでちゃんはそうコメントした。が、私には「子どもを信頼?」具体的にどういうことを指しているのか全くわからず、8人ほどの少人数講座だったのに、一人だけ居場所を失ったような気がしていた。
 
「子供を信頼」って何を信じればいいんだろう?子供が言っていることを100%真実だと信じてやればいいのだろうか。けれども「ママー、妹が壁に落書きした」「ママー、お兄ちゃんが壁に落書きした」と2人の子供が同時に言ってきたら、私はどちらを信じればいいのだろう。
あるいはこんなことだって起こりうるかもしれない。「大阪府警です、先ほどお宅の息子さんを万引き現行犯で補導しました。」それでも我が子が「やってない」と言ったらそれを信じるのか。なんか違う、ひでちゃんが言っていたのはこんなことじゃない気がする。なんか違うけれど、やっぱりわからない。私は、このマジックボックスの鍵を見つけられないまま数年間を過ごすことになった。
しかしその鍵は、10年後に起こった「息子の悲劇」によって見つかったのだ。おかげで今では自信を持って「私は子供を信頼しています」と言える自分がいる。
 
それは、息子の高校受験の発表の日。彼は先生の「ちょっと厳しいと思う」という助言を聞かず、自分が行きたい高校を受験校として選んだ。しかし残念ながら合格発表の中に彼の番号はなかった。前後の友達の番号はずらりと並んでいるのに……。それを見た息子は、激しく動揺した。「俺だけや、恥ずかしい」そんな言葉を発して、帰りの車の中ではぐったりしていた。しかし帰宅後、彼は自分の部屋に入るなり、荒れた。今まで見たこともないくらい荒れた。部屋の中にある手に取れるモノ全てを壁に投げつけた。目に入る紙類は全部引きちぎって床にばらまいた。普段は比較的おだやかで怒ったりしない彼が、大声をあげていた。そんな息子の様子を見て私も感情が抑えられなくなった。泣いた、大声で泣いた。息子の気持ちを思うとやるせなくて、でもどうしようもなくて、私にもっとできることがあったんじゃないかと思うと悔しくて、リビングの机にうつっぷして泣いた。
しばらくして落ち着いてから、今後どうするかと息子に尋ねた。「◯◯高校に行く。それしかない。」と布団を頭からかぶったまま彼は答えた。それから数日間、彼は友達と一切連絡をとっていなかった。けれど徐々に気持ちを切り替え、友達と会い、高校の制服の採寸にも行った。
そんな彼の様子を見て、私は決意した。「こんなに荒れて落ち込んでいたけれど、彼は必ず自分で自分の道を切り開くはず、それを信じて勇気づけよう」と。そしてこれこそが、あの時ひでちゃんがコメントしていた「子供を信頼する」ということだと気がついた。
そのセミナーの講師の先生は言っておられた。「子供のことを心配するのは悪いことではないよ、子供を大切に思っている証だから。でも心配で子供を勇気づけることはできない。せっかく子供を想うのであれば、信じて見守る。それがいちばんの勇気づけです。」当時は頭の中でその言葉を繰り返すだけで精一杯だったが、この時やっとその先生の言葉が腑に落ちた。約10年かかった。
入学後、彼はサッカー部に入った。しかし、練習がきつすぎて帰宅したら寝落ちする日々に疑問を感じ、「これは俺が望んでいた高校生活じゃない。サッカー部をやめる」と言い、2ヶ月で退部した。その後は部屋にこもってゲーム三昧の日々。彼曰く「腐った半年」を送り、2年生になった。ある日、友達に誘われてダンス部に入部。意外すぎた、が彼はダンスに没頭した。ダンススクールにも通い、数ヶ月後、ステージの上で軽やかに踊る彼の姿があった。親バカを承知で言う、彼は輝いていた。
2年生の3学期、推薦入試の願書を出す時期になった。彼は「大学一覧」をパラパラとめくりながら「勉強したいと思えるものが見つからない」と言った。数日後「1つだけやりたいものが見つかった」と情報誌を見せながら話す彼が開いていたのは、調理師専門学校のページだった。
「包丁の研ぎ方、だしの取り方、食材の扱い方など毎日実習を行い、基礎から学びます」というくだりを読み「これを全部やりたい、だから大学には行かない」と彼は言った。
あれから2年、息子は「中華なべをふるのが好き、中華包丁が好き」と言い、楽しそうに料理をしている。中国料理のレストランでアルバイトをし、4月から働くレストランも決まり、自分らしく毎日を送る彼は、眩しいくらいに輝いている。
厳しい料理の世界にとびこみ、これからは困難に出会うことも、辞めたくなることもあるかもしれない。けれども、一度あの悔しさを乗り越え、立ち上がり、自分の好きなことを選びやり遂げてきた奴だ。「腐った半年」から「ステージでの輝き」をみつけた奴だ。きっと周りの人の助けを借りながら、自分の道を切り開いていくに違いない。
「どんなことがあっても、子供は自分の力で生き抜いていける」と子供がもって生まれてきた力を信じて、受け入れ認めること。要らぬ心配は必要ない。これこそが子供を信頼することだと、私は彼の人生を通して学ばせてもらった。
それと同時に、私は自分のことも同じように信頼できるようになった。ストレングスファインダーという性格診断では、1番の強みが「ポジティブ」と出てくる私でも、孤独を感じたり、将来に不安を感じることもある。しかし一呼吸し「結局大丈夫やねん、生きていればなんとかできるねん」と自分のことを信じ、必要以上に心配しなくなった。そのおかげで心が数倍軽くなり、まさにポジティブに生きられるようになっている。
「みんな大丈夫なんだよ、どんな子も、どんな人も、自分で自分の人生を歩む力がある」悩める人みんなに、私はこう伝えたい。
 
 
 
 
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2022-11-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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