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メディアグランプリ

天国(仮)での暮らし


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:大高 充 (ライティング・ライブ東京会場)
 
 
「ごめんねー、これスーパーのお煎餅、おいしくないけど食べてね」
引越しをして2ヶ月あまり、大家さんのお母様とすっかり仲良くなり、よくいただきものをする。お母様は綺麗な白髪で、真っ赤なカーディガンをまとい、品がいい。
「ほんと、おいしくないからー、あははー」と背中で笑いながら、去っていく。
「いえいえ、いつもありがとうございます」
お礼を言って居間に戻った私は、その「おいしくない煎餅」の袋をとりだす。
海苔の巻かれた大判の醤油煎餅12枚入りだ。
おいしくなさを確認するために一枚、頬張ってみた。
 
「パリ、パリ」
美味い。
海苔と醤油の風味と香りが、ふわっと鼻に抜ける。
 
「パリ、パリ」
やはり美味い。
煎餅そのものも、カリカリと小気味よく口の中で砕けてくれる。
美味すぎる。もう一枚いこう。
 
やがて帰宅した大学生の長男(19)もテーブルの「おいしくない煎餅」を一枚口に入れるなり
うめー、こんな煎餅食ったことねーと言う。
喜んで食べているのでこちらも嬉しくなる。
だが、言葉が少し粗い。父親の顔が見てみたい。
 
続いて帰宅した高校生の長女(17)も
おいしい、おいしいと絶賛しながら、カロリーも気にすることなく
「おいしくない煎餅」3枚をみるみる胃に収めていく。
この子は本当に美味しそうに食べる。
言葉遣いも丁寧だ。お父様が素晴らしいのだろう。
 
その後、家内(年齢非公表)も絶賛しなら3枚を一気にやっつけた。
 
確かに子供には新潟の〇〇製菓の煎餅しか食べさせていないとはいえ
「おいしくない煎餅」で花を開いたように明るくなった家族を見て
家長(55)の私は
何を持って幸福なのかと軽く考えてみた。
 
もしかすると最初は、あるいは若いうちは幸せの閾値は低いほどいいのかもしれない。
そして
幸せは少しずつ獲得していくものらしい。
 
子供の舌が肥えていないのが、良かったのだ。
勘違いしないでいただきたい。私がケチだからではない。
子供の幸せのためにそうしたのだ。
 
例えば大人になって、はじめて給料で銀座の高級寿司店に両親を招待するといった、ささやかな楽しみは、子供のうちから銀座久兵衛でお寿司を食べていたら得られないだろう。
 
案外、伸び代がなくなると、人生つまらなくなるものかもしれない。
 
大事なことなのでもう一度言わせてください。
私はケチなのではない。
伸び代を楽しんでもらおうという、私の愛情なのです。
 
さて、幸福について、もう少し具体的に考えてみることにした。
 
例えば、すべての望みが叶う、とされる天国で暮らした場合は幸福なのか?
私の望むままを、天国で実現させたらどうなるか?
脳内で実現させてみよう。
 
私の希望は、朝ゆっくり起きて、朝風呂に入って、豪華なブランチを食べて、ポルシェのオープンカーでドライブして、夜な夜なパーティーに出かける。住まいは常夏の島の海岸沿いにそびえ立つ白亜の豪邸だ。お金は雨のように空から時々降ってくるので困ることはないと仮定しよう。
そうそう、今流行りのFIRE(経済的自立と早期リタイヤ)のような生活だ。
それが理想だ。
この生活を頭の中で1日、2日、3日と続けてみた。
 
結論
飽きる。
 
なるほど、なるほどわかったぞ。
私の場合
経済的、物質的、時間的余裕だけでは幸せにはならないようだ。
何が足りないのか?
 
おそらく足りないのは、好奇心を満たす、ことだろう。
それで
先ほどの天国的生活の中に、好奇心を満たすべく、吉本新喜劇の養成学校に通っている自分を加えてみた。白亜の豪邸から大阪難波の吉本までポルシェで通い、舞台での「こけ方」や、笑い理論を学ぶ自分を加えてみた。
 
なかなか良くなってきた。理想の生活に近づいてきた。
なるほど、なるほど好奇心を満たすということは
「幸福」
の大事な要素だな。
 
そうだ、家庭が空白なのでこれに色付けしてみよう。
白亜の豪邸にいる家族(仮)を作って、イメージしてみる。
パートナーは美人で、料理上手で、気立てが良くて、働き者だ。
男の子は元気で、やんちゃだ。
女の子も元気で、いつも笑っている。
 
オッケー、オッケー
だいぶ良くなってきた。だいぶ理想に近づいてきたようだ、もう一息だ。
 
しかし、まだ何かが足りない。
そうか!
ひと様の役に立ってない。ひと様の役に立ちたいのだ。
四文字熟語で表現すると社会貢献だ。
 
やはり仕事がしたい。これにはワイフワークを決めよう。
そうだ
「若い人を元気にする」「人を笑顔にする」この2つをライフワークとしよう。
地域や企業で若い人を元気にする活動をすることにする。
 
これでほぼ完璧だ。
朝は白亜の豪邸からポルシェに乗って出かけ
昼は知的好奇心を満たし、若い人を元気にする活動をする。
夜に家に帰ると美人のパートナーと元気な子供がいる。
 
これが私の理想の生活だ。
これが私の天国での理想の生活なのだ。
 
あれ
 
現実はどうだろう。
朝、自宅から車に乗って出かけ
昼、オンラインサロンで知的好奇心を満たし、若い人のための仕事もしている。
夜、帰ると家には気立てのいいパートナーと元気な子供がいる。
 
なんだ、今でも大して天国と変わらない生活をしているではないか?
整理してみるといろいろと見えてくるものがあるではないか。
 
どうやら子供の就職やら、進学について気を揉む必要もなさそうだ。
 
今夜は久しぶりに家族で高級回転寿司の銚子◯に行こう。
みんなにうめーと言わせてみるさ。
 
 
 
 
***
 
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2022-12-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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