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「おみくじが神様に届くまでに~巫女バイトは腰痛と残暑との戦い~」

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:幸奏(ライティング・ゼミ12月コース)
 
 
あけましておめでとうございます。お正月は初詣に行って、おみくじを引いた方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。私は、八坂神社で引いたところ「半吉」でした。吉凶混合ということで、言ってしまえば普通の一年のようです。
さて、そんなおみくじですが、神社で木の枝などに結びますよね。神様と縁を結んで、もっと良い運勢にするという意味があるようです。ところで、結んだ後、どのように処理されているのかご存じでしょうか。
どんどん増えてくるおみくじを朽ちるまで置いておくわけにはいきません。ご想像の通りかもしれませんが、ある程度増えてきたら、神社の方が外して、お焚き上げしていることが多いようです。そして、このおみくじを外す作業、実は結構重労働なのです。
大学生の頃に、とある神社で巫女のアルバイトをしていました。秋祭り期間の短期のアルバイトで、御守りやおみくじの授与が主な仕事なのですが、境内や神社内の建物の掃除、関係者へのお茶出し、そして、おみくじを外す作業がありました。
初めて依頼されたとき、おみくじを外すだけなら、たいしたことはない作業だろうと思い、快諾して作業を始めました。しかし、すぐに快諾したことを後悔する羽目に陥りました。まず、大きな神社だったため、おみくじを結ぶ場所が大量にありました。そして、結ぶ専用の場所に結んである場合は良いのですが、近くの木にもたくさん結ばれています。中には、私一人では届かず、脚立が必要な場所にも。さらに、低木の垣根にもたくさん結ばれており、こちらは少しかがんで作業をすることになります。この低木の垣根が延々と続いているため、中腰のまま作業をすること30分……私の腰が悲鳴を上げました。伸びをして、身体をぶんぶん動かしたい! そんな衝動に駆られたのですが、神主さんの「巫女の格好をしているときは、ふるまいに気を付けてください。背筋を伸ばして、丁寧な動作を心掛けて、特に、外で勤務しているときは、常に見られていることを意識しましょう」という言葉が、ふと頭によぎりました。果たして巫女スタイルで蟹股開きは許されるのでしょうか。ラジオ体操第二のごとく、右に左にぶんぶん身体を振るのは許されるのでしょうか。いや、どちらもいけません! 巫女はあくまでも優雅におみくじを回収しなければならないのです。……無理です。そして、夏の終わりの時期であったため、外での作業は暑さとの戦いでもありました。汗が滴り落ちるのを、そっとハンカチで抑えながらの作業です。そんな見た目は涼しい顔をキープしつつ、心の中は暑さと痛みに耐えることに全集中している私に、声をかけてくる人がいました。「写真を撮らせてもらってもいいですか?」と。
このバイトをしている間、巫女の格好をしているため、写真を撮らせて下さいという方はちらほらいました。外国人観光客の方や、一眼レフを抱えて巫女全員の写真を撮っている方、一緒に撮って欲しいというギャル集団など、色々いらっしゃいました。撮影可否を確認してくださる方は良いのですが、人によっては無言でカメラを向けてこられる方もいらっしゃり、不快に思うこともありました。しかし、この時ほど、「喜んで! 思う存分写真撮影してください!」と思ったことはありませんでした。なぜなら、写真撮っている間は、中腰から解放されるから。
一緒に作業していた宮司さんに不審に思われない程度に、会話をしながら腰を休めて。撮影した方が去る時は、「いかないで!」と映画のワンシーンの如く、すがりつきたい気分でしたが、あくまでも優雅に「ようこそお参りくださいました。ごゆっくり」と笑顔でお見送りしました。そう、この時の私は巫女ですから。
そうして、腰痛と残暑と戦いながら、やっとの想いで外したおみくじは、透明ゴミ袋に入れられて社務所の倉庫へ運ばれて行きました。
巫女のバイトに対して幻想を抱く方も多いかもしれません。実際にやってみると、むしろ浮世の現実をまざまざと見せつけられることになりました。しかし、非常にいい経験だったと思います。自分が無邪気にやっていることが、他人を苦しめることにつながることもあると、このとき思い知りました。
この巫女の経験以降、私は境内にあるおみくじを結ぶ場所以外に結ぶことはありません。そして、簡単に外せるように、そっと優しく結びます。おみくじが神様に届くまでに、巫女の汗と涙で濡らされることが無いように。
 
 
 
 
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2023-01-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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