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外国語をマスターする1番の近道は「落語」である


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記事:矢野 和幸(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
 
 
インドネシア語で落語をできる人間は世界広しといえども私だけだと思う。
 
「インドネシア語で落語を披露したい!」
 
この無謀な考えに至ったのは、大学2年生の9月だった。
当時、私は大学でインドネシア語を勉強していた。
サークルは、落語研究会に所属していた。
 
「この2つを組み合わせたら面白んじゃないか!?」と単純に考えた。
 
どこで披露したらいいのだろうか?
日本人の前は論外だ。
全員理解できず、場の空気が凍りつく。
その中で落語を演じ切る鋼のメンタルは持ち合わせていない。
 
1年前に校内で開催されたインドネシア語のスピーチコンテストを思い出した。
スピーチコンテストは、詩の暗唱とスピーチ(テーマ自由)に分かれていた。
スピーチコンテストで発表しよう。
 
落語のネタはどうしようか?
スピーチの時間は、5分以内。
5分で終わる短いネタにしよう。
古典落語の「後生鰻」にしよう。
後生鰻とは、命を大切にするおじいさんをうまいこと利用して金儲けしようとする鰻屋の浅はかな悪知恵を描いた滑稽噺である。
5分以内で終わる短い噺だ。
落語の噺を編集して短くすることを不精した。
これで後々痛い目をみるとは、ついぞ思わなかった。
 
スピーチコンテストは、11月に開催される。
思いついたのは、9月。
あまり時間がない。
 
とりあえず、翻訳しよう。
辞書を使うのはめんどくさいからGoogle翻訳でいいや。
外国語学部生失格の考え方をしている私は、テキトーに訳した。
テキトーに翻訳したら、後は人任せ。
インドネシア人の友人にチェックをお願いした。
ネイティブに確認をしてもらったから、間違いはないだろう。
チェックをしてもらった後は、インドネシア人の友人に音読をしてもらった。
音読をスマホで録画させてもらった。
後は、聴くだけ。最近聞かなくなったスピードラーニング。
 
100回以上は聴いたと思う。
ようやく発音特訓に入る。
インドネシア人の友人に私の音読を聴いてもらう。
フィードバックをもらい、修正。
この繰り返し。
少し恥ずかしいが、自分の声を録音するのを忘れてはいけない。
後で、ネイティブの発音と聞き比べる。
聞き比べた際に、異なっていると感じた部分を修正する。
 
いよいよ落語を覚える。
なにも見ないでひたすらネイティブの音声を100回以上シャドーイングする。
覚えたと思ったら、ネイティブの友人に聴いてもらい、フィードバックをいただく。
 
スピーチコンテスト本番。
私は、緊張していた。
昨年のスピーチコンテストの詩の暗唱のできがいまいちだったのを思い出す。
インドネシア語を勉強して1年半しか経っておらず、自信がなかった。
インドネシアへは1日しか行ったことがなかった。
 
形だけでもと思い、着物を着て、座布団を用意し、学科の友人にお囃子(落語の入場音楽)のCDを流してもらった。
 
めちゃくちゃすべった。
私が今までしてきた落語の中で1番すべった。
1人も笑っていなかった。
 
スピーチの後の質疑応答もひどいものだった。
審査員の先生がインドネシア語で質問するのだが、なにをいっているのかさっぱりわからない。
理解できたとしてもインドネシア語でなんと答えたらいいのかわからない。
司会の教授にはあきれられた。
 
悔しい気持ちでいっぱいだった。
 
2月、インドネシアの短期留学プログラムがある。
そのプログラムの中で現地の学生に日本文化をプレゼンテーションする機会があるという。
 
これだ!
リベンジするしかない。
 
前回のスピーチコンテストはなぜ失敗したのだろうか?
 
1番の要因は、ネタ選びだった。
インドネシアには仏教徒もいるが8割以上はイスラーム教徒。
「後生」という仏教用語が伝わるわけがなかった。
それにインドネシアでは鰻を食べるのか?
おそらく食べる習慣はないと思う。
仮にあったとしても一般的でないのだろう。
 
次のネタは、既に外国語に翻訳されている落語を選ぼう。
私は大学の図書館で、「英語落語」を調べた。
立川志の春『誰でも笑える英語落語: Rakugo in English』を見つけた。
著者の立川志の春は、ためしてガッテン司会者である立川志の輔の弟子。
幼少時と大学時代の計7年ほどをアメリカで過ごし、アメリカのイェール大学を卒業している。
収録されていたネタは、TENSHIKI(転失気)/THE ZOO(動物園)/THE LIQUOR GATE(禁酒番屋)だった。
「禁酒番屋」にした。
禁酒番屋は、お殿様が禁酒の御触書を出し、みんなが守っているか確認するための番屋を作ったのだが、住民は酒が飲みたくて仕方がないので番屋をどうにかだまそうとする滑稽噺。
ムスリムの多い国でお酒の噺をするのは罪深いかもしれないが、短期留学先はカトリックの大学であるから問題なかろう。
 
準備方法は、スピーチコンテストと全く同じ。
いよいよ迎えた落語本番。
観客は50名以上いたと思う。
私は緊張しながらも熱演した。
 
笑いが起きた。
1つの笑いがきっかけとなり、笑いの輪が広がる。
 
やった!
うけてる!!
 
私は嬉しくてたまらなかった。
 
嬉しいことに、落語の中のセリフの一部が現地の人たちの間で流行語になった。
現地の人で日本語を理解できる人は誰もいない。
インドネシア語だけで日本の伝統芸能である落語の魅力を伝えることができた。
 
落語の準備のおかげで、私のインドネシア語の能力も飛躍的に向上した。
短期留学最終日のクロージングセレモニーの司会に抜擢された。
クロージングセレモニーの司会に選ばれた理由は、1番スピーキング能力が高いためだった。
 
ただ少しの弊害もあった。
授業でインドネシア語を音読するとどうしても落語調になり教授に笑われたのだ。
 
外国語習得の1番の近道は「落語」である。
ただし、発音が落語調になる。
 
マスターしたい言語があれば、あなたもぜひその言語で落語を披露してほしい!
ただし、発音が落語調になっても問題なければ。
 
 
 
 
***
 
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2023-01-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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