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週刊READING LIFE vol.154

人生を楽にするたった一つのこと《週刊READING LIFE Vol.154 人生、一度きり》


2022/1/10/公開
記事:岡 幸子(READING LIFE編集部公認ライター)
 
 
みなさん、年末ジャンボ宝くじ、
1等前後賞合わせて10億円当たったら、どんな気分ですか?
ものすごく嬉しいですよね。
お金はできるだけたくさんあった方が幸せになれそうですよね。
ところが、
あるものを持っていると、使いきれないほどたくさんお金があっても
幸せになれないんです。
 
ドイツの大富豪がたどった実例があります。
起業家アドルフ・メルクレ氏は、ドイツ屈指の大富豪でした。グループ全体の年間売上が300億ユーロ(約3兆8000億円)を超える「メルクレ帝国」を築き上げ、2008年の資産総額は92億ドル(約8600億円)。もちろん、世界長者番付にも名を連ねていました。
その彼に、アメリカで起こったリーマンショックのあおりで、大きな負債ができました。それでも、もとが大富豪ですから、数百億円の資産が残っていました。
大金持ちであることは変わりません。
それなのに。
2009年1月5日、メルクレ氏は電車に飛び込み自ら命を絶ってしまったのです。
享年74歳でした。
 
メルクレ氏がお金と一緒に持っていた「それ」を手放していたら、絶望しなくて済んだのにと思います。
 
他にも、それを手放せば
〇〇だからこうあるべきという苦しい気持ちから、解放されます。
年はとりたくないという不安な気持ちが、「老後も楽しみ」に変わります。
 
手放すだけで、生きていくのが楽になるそれは何か。
 
人生も後半になった、つい最近知りました。
それのせいで、ずいぶん無理をしていたことに気づきました。
 
大学生の頃。
恋をして、一番盛り上がっていた時期に、不安で仕方ありませんでした。
両想いで幸せな状況だと頭でわかっていても、嫌われたくない一心で無理をしていたのです。本音を出せず、彼氏の前で可愛く思われようといい子ぶっていました。
当然、彼はいい子ぶっている私を好きになりました。
付き合い始めて1年たった夏休み、彼が北海道へ実習に行くことになりました。
 
「実習が終わったら、北海道旅行しようよ。計画は僕が立てるからさ。一人で北海道まで来れるよね」
「うん、行く」
「できるだけいろんな場所へ行きたいから、宿代は節約するよ。夜行電車とユースホステルと、あとは寝袋で野宿しよう。寝袋は僕が二人分持ってあげるから大丈夫」
 
ご冗談でしょう!
あなたはアウトドア派で慣れているかもしれないけれど、キャンプもしたことないこの私が野宿ですって!?
そんなバカな計画乗れないわ!
 
とは言えませんでした。
 
「野宿? 面白そう」
 
多分、それが彼の喜ぶ答えだろうと想像して答えていました。
嫌われるのが怖かったからです。
そんな状態で付き合い続けて、うまくいくはずありません。
本当の自分と、彼の理想を演じる自分との隔たりが広がって、苦しくて仕方なくなりました。
最後の最後に本音をぶつけたら、彼は驚いたような顔で言いました。
 
「そんなこと言うな」
 
まあ、そうですよね。
彼にしてみれば青天の霹靂です。
本当の私を見せていなかったのですから、受け入れがたい気持ちになるのも仕方なかったでしょう。
その隔たりを埋めることはできず、彼とは別れました。
 
それなのに。
なかなか手放せなかった「それ」のせいで、別れた後の何年間も、心が重く苦しいままでした。
 
「それ」は「執着」です。
 
失いたくないという執着が、大金持ちを絶望させたり、
恋の絶頂期でも人を不安にさせたり、
終わった恋への未練を生みだしたりするのです。
 
何かに執着する気持ちは、ブラックホールに似ています。
大きくなればなるほど、エネルギーを吸い取ってしまいます。
 
たとえば受験でも、志望校への合格に執着しすぎるのは危険です。
合格することが目的になってしまうと、そこにエネルギーが吸い取られていきます。
不合格になったら、注ぎ込んだエネルギーはブラックホールの中から戻ってきませんから、立ち直るのが大変です。
合格しても、そこでエネルギーを使い果たしてしまうと、入学後の目的を失って燃え尽きてしまうこともあります。
どちらに転んでも、執着を手放していれば、現実をありのままに受け入れられるでしょう。
 
 
ありのままの自分で生きることを謳って、大ヒットしたアニメがありますね。
「アナと雪の女王」です。
アナのお姉さんのエルサは、ある事件をきっかけに、未来の女王として魔法を封印した生活を強いられます。それは、エルサが女王としてあるべき姿に執着した、両親からの呪縛でもありました。エルサの両親は、不幸にも海の事故で亡くなってしまいますが、海へ出たのもエルサをまともな女王に育てようと執着したためでした。
物語の中で、エルサは女王としてあるべき姿を生きる道を捨てて、ありのままの自分で生きようと決心します。エルサが過去への執着を捨て、ありのままの自分になると歌うシーンは多くの人の共感を呼びました。
きっとみなさん、本当はあるべき姿にとらわれずに、ありのままで生きたいと思っているのではないでしょうか。
 
 
50代も後半になって、ようやくそのことに気がつきました。
こうあるべきという執着を手放したら、生きるのがとても楽になりました。
 
じつは二十歳の頃、年をとったら楽しいことなんかないんじゃないかと思っていました。
50代になることは、恐怖でしかありませんでした。若さに執着していたのです。
でも、執着を捨てて、ありのままを受け入れて生きようと決めたら、毎日がとても楽になりました。
 
みなさんも、ぜひ試してみて下さい。
執着を捨てるだけで、驚くほど楽に生きられます。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
岡 幸子(おか さちこ)(READING LIFE編集部公認ライター)

東京都出身。高校教諭。平成4年度〜29年度まで、育休をはさんでNHK教育テレビ「高校講座生物」の講師を担当。2019年12月、何気なく受けた天狼院ライティング・ゼミで、子育てや仕事で悩んできた経験を書く楽しさを知る。2020年6月から、天狼院書店ライターズ倶楽部所属。
「コミュニケーションの瞬間を見逃すと、生涯後悔することになる」、「藝大声楽科に通う大学生が、2年間で2回も声帯結節になった話」、連載【ガラパゴス。世界自然遺産第1号を旅して】第3回「イグアナは、まつこだった」の3作品で、天狼院メディアグランプリ週間1位獲得。

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2022-01-05 | Posted in 週刊READING LIFE vol.154

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